第2世代の精英樹選抜による育種効果の予測

タイトル 第2世代の精英樹選抜による育種効果の予測
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 生物機能開発部集団遺伝研究室 明石孝輝
発行年度 1992
背景・ねらい 多くの動植物の品種改良は,集団の中から優れた個体を選抜し,その個体群の相互交配で遺伝的に優れた集団をつくる。この操作の繰り返しで,さらに優良な集団がつくられる。林木でも同様に,選抜した優良個体を精英樹と称し林木育種事業が実施されている。現在,当初に選んだ精英樹の相互交配による種苗が植栽され,その優良性が認められている。樹齢経過の中で第2世代の精英樹選抜の時期が迫り,そのことに関する情報が必要になった。このため,本試験では,スギの幼齢期で選抜を繰り返し,第2世代の精英樹の選抜による改良効果についての情報を得た
成果の内容・特徴 第2世代の精英樹の選抜効果は,その子供群が親と同齢になったときの成長量の大きさで確かめられる。この試験の経過を図1に示した。母樹別に採取した種子から,1年生苗木を養成し,個体ごとに家系別の標識を付けランダムに定植し模型精英樹の選抜対象集団とした。定植後3年で模型精英樹を選抜し,同時に比較のための対照個体を抽出した。模型精英樹群と対照個体群の各々で人工交配を行い,苗木を育成し当初と同様の方法で第2世代の模型精英樹の選抜対象集団とした。3年経過後,樹高を調査し,第1世代の精英樹の選抜効果を確認した(図2)。さらに第2世代の模型精英樹を選抜し,同時に対照個体を抽出した。各々の群で人工交配を実施し,これまでと同様の方法で第3世代の模型精英樹の選抜対象集団を育成した。この集団が3年経過した時点で,樹高を調査し第2世代の模型精英樹の選抜効果を確認した(図3)。
図2よりも図3の対照個体家系と模型精英樹家系との成長差が明瞭であり,選抜の繰り返しによる成長量の向上が認められる。図中,××を付けたものは両親が同じ個体間の交配による家系で,×は片親が同じ個体間の交配の家系である。××の家系はいずれも成長が悪く,×の家系も大半が成長が悪い。一部の成長のよい家系は,この時点で成長にマイナスをもたらす遺伝子を保有していなかったためと考えられる。このように林木でも近親交配を行うと成長が悪くなるので,最初に選抜する個体数をできるだけ多くし,近親交配をさけ選抜を繰り返す必要がある。

図表1 212342-1.gif
図表2 212342-2.gif
図表3 212342-3.gif
カテゴリ 育種 栽培技術 品種改良

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