アジア太平洋地域における森林消失モデルの開発

タイトル アジア太平洋地域における森林消失モデルの開発
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 林業経営部遠隔探査研究室 沢田治雄
発行年度 1993
背景・ねらい 熱帯諸国では,毎年1,540万ヘクタールの熱帯林が激しい変化にさらされていると報告されている。特に,アジアの熱帯地域における森休の減少率は毎年約1.2%であり,中南米の0.8%やアフリカの0.7%と比べても極めて大きくなっている。そこで,人口増加・農業生産など,社会条件の変化がもたらす木材需要及び林地への圧力のメカニズムを分析し,その関連モデルを開発した。また,そのモデルによって森林消失のシミュレーションを行う際に必要となる森林資源の実態に関する情報を,リモートセンシング技術を利用して広域に把握するための手法開発研究を行った。
成果の内容・特徴 アジア・太平洋地域における熱帯林の経年的変化をモデル化するために, 東南アジアの国々を対象として,既存の森林資源調査報告,林業統計,農業統計,人口統計などをもとに,熱帯林劣化の現状とそのメカニズムに関する分析を行った。また,熱帯林の消失モデルに関する代表的な研究をレビューし,東南アジアの森林消失モデルを考案した(図1)。特に,森林火災のもたらす影響が大きいことから本モデルに取り入れているのが特徴である。さらに,このモデルに従って森林消失メカニズムをシミュレートできるソフトウェアを整備し,モデルの部分的な変更にも容易に対応可能で,入手可能な情報をもとに再構築できるものとした(図2)。
シミュレーションのパラメータを得るための各種の情報の収集・蓄積は,地理情報システム上でデーターベース化して利用できるようにした。これらの情報は,できるだけ既存の資料を収集して利用することとしたが,肝心な森林面積や森林火災,森林劣化等に関しては統一的に報告されていないのが現状であった。そこで,ノア衛星の月平均の観測データ(GVI)を利用して国別の森林面積を推定する手法などを開発した(図3)。本手法は熱帯季節林地帯でその推定精度が高く,一般に季節的な変化の大きい森林地帯での実用化が望める。
これらによって,東南アジアの森林面積等の変化がそれを囲む社会的な因子との絡みで評価・分析できるシミュレーションモデルのプロトタイプが開発された。

図表1 212345-1.gif
図表2 212345-2.gif
図表3 212345-3.gif
カテゴリ リモートセンシング

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