タイトル | 環太平洋諸国における木材の生産と貿易の動向分析 |
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担当機関 | 森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
古井戸宏通 山本伸幸 林業経営部経済分析研究室 加藤 隆 |
発行年度 | 1993 |
背景・ねらい | 日本の木材貿易は,1980年代後半からの製品輸入の急増により構造的な変化を示しつつあり,これに伴う産地国の生産・輸出体制の変化や,日本国内の価格形成への影響などに関する分析が急がれている。本研究では,急速に進みつつある貿易構造の変化の特徴とそれをもたらした外部条件について分析するとともに,主な針葉樹生産国(地域)における資源の供給余力や製品生産・輸出体制の変化を明らかにすることを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 世界の木材貿易の中で,日本は大量の丸太輸人国として特異な地位を占めてきたが,1980年代後半の円高を契機に,製品輸人の割合が急速に高まる傾向を示してきている。特に,米材製品の輸人量は1992年において777万m3を記録し,原木換算すると丸太輸入を3割程度上回る水準に達している。こうした製品輸入の急速な拡大には,円高を契機とする日本の木材関連企業の海外加工への進出の他に,天然林資源の減少や輸出規制の強化,工業化の進展などの産地側の状況変化, プレハブや2×4住宅の増加といった国内需要の変化,熟練労働者の不足・大手住宅メーカーの海外進出など,様々な要因がかかわっており,今後とも,産地国の多様化,高付加価値化を伴いながら,そのウェイトは一層高まっていくものと予想される。 針葉樹材の主な生産地域のうち,アメリカ北西部からの日本向け木材輸出に関しては,自然保護運動の高まりによる国有林の立木販売の大幅削減や,2010年頃まで続くとみられる会社有林からの原木供給の停滞,アメリカ南部の供給余力の頭打ちなどが重なり,今後10~15年間は同地域からの輸出向け供給余力が減退傾向を示すことが予想される。一方,カナダB・C州に関しては,目下進められている森林政策の見直しにより,州有林からの伐採量が沿岸地域を中心に,今後10~20年間で20%程度減少するものと見込まれている。しかし同州の林産業はこれに対応して,内陸地域に向けて投資活動を活発化させており,アメリカや日本向けの製品生産が大きく落ち込むことはないものと予想される。 |
カテゴリ | 加工 高付加価値 輸出 |