ヒノキ人工林施業における育林投資採算性の評価

タイトル ヒノキ人工林施業における育林投資採算性の評価
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 関西支所経営研究室 家原敏郎
発行年度 1993
背景・ねらい 育林投資は超長期間に及ぶため,ある林地への人工造林が経済的に引きあうか,伐期を何年にするか,施業体系をどうするか判断するには,投資採算性に関する事前評価が重要となる。育林投資の採算性は,伐期,育林賃金水準,伐出費水準(地利),林地生産力(地位),施業方法,素材の価格水準等の要素によって決まる。要素のうち林地生産力,伐期,賃金,伐出費及び施業体系と投資採算性の関係について,ヒノキを対象として計量的に検討した。
成果の内容・特徴 林分密度管理図の式等を組合せ,地位指数別の樹高成長,立木密度の変化,直径分布,最有利採材等を考慮して,収穫される素材材積・価額を予測するモデルを作成し,労働投入量のデータを収集した。このモデルを使って,平均的な育林賃金,伐出費水準において,投資採算性の指標の一種である内部収益率を求めると図1のようになり,期待する内部収益率以上となる地位指数が分かり,経済的造林限界が提示された。また,地位が良い林分ほど早い時期に,悪いほど遅い時期に内部収益率の最高値が到来することが分かった。伐採時期が遅いほど値が接近し,地位差による内部収益率の差異が縮小した(図2)。長伐期施業では収穫される素材が高価でモデルでの計算が困難なので,高野山国有林のヒノキ98年生林分の伐採事例をもとに検討した。施業記録から,造林費,育林費と素材の総売上額及び伐出経費を整理し,過去の経費・収益については図3に示した物価・賃金変動によって現在価額に換算した。内部収益率は賃金指数によって換算した値が現実的であり(表1),一般のヒノキ林に比べるとやや高く,森林純収穫が極めて大きいことから,長伐期施業の有利性が示された。施業問の比較では無間伐と弱度間伐林分の事例をとりあげ検討した。間伐木を含めると,収穫される素材材積・価額及び内部収益率は間伐区が無間伐区より人きく,間伐を実施した方が経営上は有利であるといえた(図4)。ただし,搬出条件が悪く間伐収益が間伐経費と相殺されるような場合には,逆に無間伐施業が有利であると考えられた。

図表1 212360-1.gif
図表2 212360-2.gif
図表3 212360-3.gif
図表4 212360-4.gif
図表5 212360-5.gif
カテゴリ きく 経営管理

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