ヒバ林施業試験地の択伐方法と成長との関係

タイトル ヒバ林施業試験地の択伐方法と成長との関係
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 糸屋 吉彦
太田 敬之
中村 松三
発行年度 1994
背景・ねらい ヒバ林は択伐による天然林施業で行われている。東北支所では,ヒバ林を健全に持続させながら良質材を生産するための技術を確立するため,8か所の成長量及び作業種についての試験地を設定している。下北半島にある代表的な2試験地の調査結果から,択伐の方法(回帰年,伐採率,伐採方法)の違いによる林分構造の変化と成長について検討した。
成果の内容・特徴 恐山付近の「冷水沢ヒバ林成長量試験地」(1927年設定)は、択伐の回帰年を15年として設計し、その効果を検討した。設定時は、胸高直径52cm以上のヒバが材積率で46%を占める後継樹が少ない林分であった。1回目の択伐は曲り等の形質の悪い木が主体に行われ、以後3回の択伐が実施された。この結果、年平均成長量は、大畑ヒバ施業実験林(30年回帰)の7.8m3/haに比べ、7.9m3/haと差がなく15年回帰でも十分に施業できることが実証された。また、1回の択伐量は、材積で15m3/ha以内が最良と考えられる。4回目の択伐以降成長量は落ちたが、この原因は成長の担い手であった中径木を伐採したためであり、択伐木の選定にあたって中径木を確実に残すことが重要である(図1)。

むつ横浜町の「平山沢ヒバ林作業種試験地」(1929年設定)は、点状(単木単位)択伐区と孔状、帯状(直径、幅員を樹高の1/2とする)の小面積皆伐区を設けその効果を比較した。設定時の林分構成は冷水沢と同様で、点状区の1回目の択伐は、ヒバ大径木以外の形質の悪い木を伐採した。孔状と帯状区では小面積に皆伐した。以後被害木の整理を除き択伐は2回実行された。64年間の年平均成長量では点状区の5.6m3/haに対して孔状と帯状区では7.4m3/haとなり、また後継樹も後者が1972年以降大幅に増えた。点状区で成長量が小さく、また後継樹が少ないのは残存の大径木が多いことが原因と考えられる(図2、3)。

8試験地の、成長量等についての検討から回帰年は15~20年とし中径木の伐採を抑え大径木を主体に材積で20%以内の択伐率が良く、また更新の面からは帯状伐採が有利であることが分かった。今後は、搬出の機械化による作業体系と伐採種の組み合わせ等の検討が必要である。
図表1 212384-1.gif
図表2 212384-2.gif
図表3 212384-3.gif
図表4 212384-4.gif
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図表6 212384-6.png
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カテゴリ 機械化

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