タイトル | 九州地方スギ人工林システム収穫表の作成 |
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担当機関 | 森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
松本 光朗 |
発行年度 | 1994 |
背景・ねらい | 近年、目標径級の生産のためといった積極的な理由から、あるいはコスト・人手がかかるために間伐ができないといった消極的な理由からも、様々な密度管理が行われており、従来の収穫予想表ではカバーできなくなっている実態がある。一方、多様な生産目的や施業に柔軟に対応する収穫予測手法として、 一連の数理モデルを基礎としたシステム収穫表が提案されている。本研究では、白石が開発したシステム収穫表LYCSと収穫試験地の測定データを利用し、九州熊本地方スギ人工林を対象としたシステム収穫表を作成した。 |
成果の内容・特徴 | LYCSでは、従来の収穫予想表の密度管理をその地方の標準的な密度管理とし、それとの差異を直径成長の増減に反映させるという現実的で巧妙な方法を取っている。この中で、その地方の標準的な密度管理方式を示す標準管理曲線として、唯一の曲線が利用されていた。しかしながら、当スギ人工林に関しては当てはまりの程度を試行錯誤的に検討し、パラメータK、aについては地位を変数とする1次式とした。また、直径成長率についても林齢と成長率の関係が40年生以前・以降では大きく変化することから、40年を境に二つの回帰式を利用することとした。これらの検討により求められた数理モデルは表1のとおりである。 開発されたシステムの適合度を強度間伐試験の結果を用いて調べた。図lにおいては実線が間伐直後の直径階、黒丸が推定値、白丸が実測値を表しており、推定値と実測値の直径分布はおおむね適合していた。 当システムでは、地位、初期林齢、伐期齢、間伐回数、間伐林齢、初期本数密度、間伐後の本数密度、初期直径階分布(オプション)を指定すると、それに対応する収穫予想表が作成される。従って、間伐回数や間伐時期、間伐後の密度を試行錯誤的に変化させながら、目的に適合した収穫予想表を作っていくわけである。例として密度管理方式を変化させた場合の推定直径の比較を図2に示した。間伐回数や間伐密度を変化させる事により、直径成長に反映されていることが分かる。 この結果はLYCSが既存の収穫予想表を基礎としても適用可能である事を示したものであり、他の地方・樹種についても同様な操作によりシステム収穫表の作成ができるものと考えられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
図表6 | |
図表7 | |
カテゴリ | コスト 収穫予測 |