食用きのこと安全性

タイトル 食用きのこと安全性
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 関谷 敦
発行年度 1995
背景・ねらい きのこの栽培方法は原木栽培から菌床栽培に変わってきている。シイタケ以外の主要な栽培きのこはほぼ100%菌床栽培であり、そのシイタケのうち生シイタケは、平成6年には菌床栽培の生産量が全生産量の1/4を占めるまでになった。菌床栽培は米ぬか、フスマなどの栄養添加物等を培地に混入させる。これらは農産廃棄物であり安全性に問題ないと思われるが、含有重金属のきのこへの吸収と残留性の影響を解明されないまま使用されている。そのため、主要な栽培きのこと各種重金属の関係を解明するため、培地に重金属を添加して、きのこ子実体の重金属の吸収について検討した。
成果の内容・特徴 図1は培地水銀濃度ときのこ子実体水銀濃度の関係を示したもので、無添加培地では子実体濃度はブナシメジ、ヒラタケが高い値を示した。培地水銀濃度が0.1μg/g(=ppm)でシイタケ、エノキタケ、マイタケで子実体水銀濃度が高くなった。また、シイタケは無添加で全きのこ中一番低い値であったのに対し、培地に0.1μg/gの水銀を添加すると逆に一番高い値になった。日本の暫定的水銀規制値(特定の魚介類のみ)は、人間に影響を及ぼすメチル水銀で0.3ppmである。総水銀濃度に対するメチル水銀濃度の割合が魚介類は75%であるのに対し、きのこのメチル水銀濃度割合は数パーセントである。このことから一般に栽培農家で使用されている培地はもとより、仮に間違って培地に水銀が混入しても ppbオーダーぐらいでは、子実体のメチル水銀濃度は規制値より低いことが想定され、安全性に問題ないと思われる。
カドミウムでは、培地濃度が増加すれば、全てのきのこの子実体濃度も増加するが、きのこの種類によりその増加割合は異なり、シイタケが高く、ナメコ、ブナシメジは低かった(図2)。カドミウムの安全基準は玄米、精米についてのみ定めてあり、それぞれ1.0μg/g、0.9μg/gである。きのこについて考えると、無添加培地での子実体濃度は安全基準以下であるが、添加培地ではシイタケ、ヒラタケは培地以上の濃度をきのこに取り込むため、安全基準を越える結果となった。培地添加物として米ぬかを使用する場合、そのカドミウム濃度に注意する必要がある。
なお本研究は、林野庁が推進した地域バイオテクノロジー研究「菌床栽培用きのこの育種と栽培技術の改良」中で行った秋田県、群馬県、新潟県、長野県、福岡県との共同研究である。
図表1 212407-1.gif
図表2 212407-2.gif
図表3 212407-3.png
図表4 212407-4.png
カテゴリ 育種 えのきたけ 栽培技術 しいたけ なめこ

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