森林の風致景観機能に対する需要の評価と配置手法

タイトル 森林の風致景観機能に対する需要の評価と配置手法
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 杉村 乾
深町 加津枝
奥 敬一
野田 巌
天野 正博
発行年度 1995
背景・ねらい かつてサクラとマツが中心であった嵐山では、近年ケヤキや常緑広葉樹が優先する傾向にあるが、四季の変化が十分に楽しめる姿へ戻すために、サクラとマツを植栽する計画が実行されてきた。そこで、この事例を対象に、風致景観機能の経済的評価を試みた。さらに、兵庫県内のデータをもとに、風致景観機能の評価及び重点管理区域の配置手法についての検討を行った。
成果の内容・特徴 嵐山の風致景観機能について、地元住民301人と観光客901人を対象に意識調査を行った。その際、自然のままにしておくと常緑広葉樹とケヤキが優占する林に遷移していくであろうという情報を回答者に与え、ケヤキを一部伐採した跡地にサクラとマツを植栽するための費用負担の容認について質問した。また、六甲山系と宍粟郡の森林を対象に、風致景観機能を森林の現況のみから評価した場合(S)と社会的な需要を林況に加味して評価した場合(D)の比較を行った。
嵐山での意識調査の結果は、64%の人が植栽に賛成し、自然のままがよいと答えた人は27%であった。また、賛成者の87%に経費負担の意志があり、支払容認額は500円と1,000円をピ-クに分布し、平均額は1,527円(市民)、839円(市外からの観光客)であった。これらの結果と京都市の観光統計をもとに、サクラとマツの植栽に対する年間の全訪問者の支払容認額を推定したところ(図1)、計9.31億円となり、投資の価値は十分あることが立証された。
社会需要を組み入れた風致景観機能の評価については、SとDのそれぞれについて評価の高い1kmメッシュの区域に着目して比較したところ、Sでは評価が非常に高い区域(10段階で9と10)は両地域とも少なかった(1%以下)のに対し、Dでは周辺人口の多い六甲で多く(6%)、宍粟で少なかった(0.1%)。また、六甲山系内で、Dの評価が高い(段階8まで含む)区域が海岸側に集中するのに対し、Sでは内陸側に片寄った。従って、森林の現況のみをもとに風致景観機能にとって重要な区域を決定するのは需要にそぐわない場合があることが示唆された。
これらのことをもとに、風致景観機能の重点管理区域の決定とその投資額を策定するための作業過程を編み出した(図2)。
図表1 212413-1.gif
図表2 212413-2.gif
図表3 212413-3.gif
図表4 212413-4.png
図表5 212413-5.png
図表6 212413-6.png
カテゴリ さくら

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