沖縄地方における森林の水土保全機能の解明

タイトル 沖縄地方における森林の水土保全機能の解明
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 大貫 靖浩
酒井 正治
発行年度 1995
背景・ねらい 南西諸島においては、毎年のように給水制限が出されるなど、慢性的な水不足となっている。また近年、赤土の流入によると考えられる海岸生態系の破壊、特に珊瑚礁の被害が問題となっている。本研究では、沖縄本島の南明治山に試験流域を設定し、土層厚・土壌の保水特性・受食特性を多点で測定した。これらの測定結果を基に、森林流域の水源かん養機能、土砂流出防止機能をそれぞれ評価した(写真)。
成果の内容・特徴 流域の水源かん養機能は、土層の厚さと有効孔隙率(水を貯めることができる隙間)との積で評価することができる。南明治山試験流域の土層厚(表層土層厚+風化層厚)分布図を図1に示す。表層土層厚は流域の谷の部分で厚く、平坦面や尾根の部分で薄い。これに対し風化層厚は平坦面で非常に厚いのに対し、谷の部分で薄い傾向がみられた。ただし一部では、谷の中心線に沿って厚い部分が線状に分布しており、深層まで風化作用が進行していることが明らかになった。土壌型ごとの水分特性曲線を検討したところ、最表層のA層は概して有効孔隙率が高いが、表層土層の大部分を占めるB層は黄色土の一部を除いて有効孔隙率が低かった。流域の水源かん養機能を微地形ごとに評価すると、谷部で水源かん養機能が高く尾根部で低い傾向が認められた。風化層の有効孔隙率を多点で測定することにより、より精密な評価が今後可能である。
森林流域の土砂流出防止機能を評価するために、人工降雨装置を用いた森林土壌の侵食実験を行った。落葉層は新鮮なものはほとんど侵食されないが、分解が進むほど流される量が多くなった。A層・B層は、ともに表層グライ系赤黄色土の侵食量が多かった。粘土が少なく、分散しやすい土壌が侵食されやすいという結果となった。土壌型ごとの平均侵食量を算出したところ(図2)、表層グライ系赤黄色土がA層・B層とも、赤色土・黄色土の2.5倍以上の侵食量を示した。森林伐採によって落葉の供給がなくなるため、下層植生が繁茂するまでの約2年間は、特に表層グライ系赤黄色土の分布域で土壌侵食が進行する危険がある。現場で行った土砂移動量の測定でも、このことを裏付ける結果が得られた。
図表1 212417-1.jpg
図表2 212417-2.gif
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