タイトル | 森林景観管理のための重要区域の選定と類型区分手法の開発 |
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担当機関 | 森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
奥 敬一 深町 加津枝 杉村 乾 野田 巖 |
発行年度 | 1996 |
背景・ねらい | 森林の景観に対する意識の高まりに伴い、都市近郊林やレクリエーション林では景観に配慮した森林管理の必要性が増している。そのためには流域、地方レベルで景観上重要な地域を明らかにすることから、その地域内で特に重要な区域の森林景観の質を向上させるために管理・育成することまで、様々なスケールあるいはレベルで森林景観管理の方策を考えていく必要がある。本課題では、景観上重要であることがすでに明らかとなっている地域で、景観管理のため特に重要な小区域をさらに選定し、その地形的特徴を類型区分する手法を開発した。 |
成果の内容・特徴 | アメリカ合衆国林野局は森林景観を管理するためにシステムを開発したが、その概要を図1に示す。「Sensitivity Level (SL);森林の各構成部分が景観全体に与える影響の大きさ(レベル)」はこのシステムの骨格をなす部分で、景観の地形的特性や利用者の景観についての好みなどをもとに作成する景観機能の指標である。景観を、それを構成する小区域に分けたとき、どの区域が見られやすいかがSLと大きくかかわる。そこで、景観を三次元モデルで地形的に解析することによって見られやすさを計量評価し、景観機能の指標とした。 事例対象地として嵐山国有林と国有林を眺望する主要な視点を10か所選定した。(図2)。そして、1/5000森林基本図20m四方のグリッドに区分し、それぞれの視点から三次元の視覚的構造を特徴づける指標値(可視範囲、仰角、俯角、視線入射角)をグリッド毎に幾何学的モデルを用いて計算した。これらの指標値、森林簿、植生データなどをもとにグリッド単位のデータベースを作成した。このように実際に細かな現地踏査を行わなくとも、景観情報をデータベース化することにより、眺望点からの見えやすさを三次元で視覚的に把握し、数量評価することができるようになった。図3は主要視点からの解析結果を三次元評価したものである。赤色が濃いほど多くの地点からよく見える(被視頻度が高い)ことを示す。山腹から斜面上部にかけての尾根筋がよく見え、谷筋は見えないことが分かる。 被視頻度が高い区域は、稜線、斜面、その他の三つに区分した(図2)。視覚心理学の既往の研究から、稜線に視線が集中しやすいこと、視線入射角が15度以上になると斜面にも視線が集中するようになることが知られている。そこで、景観の指針としては、斜面の見られやすい部分では色彩豊かな風致樹の植栽、稜線の見られやすい部分ではスカイラインとして滑らかな曲線を維持するために高木群落の保全、その他の部分では伐採や工作物設置などの際としての景観的配慮といった取り扱いが考えられる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
カテゴリ | くり データベース なす |