タイトル | 人工衛星による森林地帯の超長期観測ネットワークの開発 |
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担当機関 | 森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
沢田 治雄 北山 兼弘 川端 幸蔵 穴澤 道雄 永谷 泉 三塚 直樹 中園 悦子 |
発行年度 | 1996 |
背景・ねらい | 地球規模の環境変動が森林に与えている影響を、人工衛星の周期的な観測によって把握する研究が行われている。しかし、森林生態系の変化の観測では少なくとも数十年の継続が不可欠で、あらかじめ観測態勢とデータの蓄積方法とを確立しておくための十分な検討を加えておく必要がある。そして、各地の研究者とのネットワークを構築することで地球環境問題に適切に対応することが求められている。本課題は、近年の衛星リモートセンシング技術とデジタル情報システムとを用いた長期間にわたる森林地帯の観測法の開発を目的としている。 |
成果の内容・特徴 | 観測対象域の選定、蓄積する情報、データ集積システム、図面のデジタル化等の検討を踏まえ、実際に立地情報、森林情報、気象情報及びリモートセンシングデータを集積して、長期モニタリングのシステム開発を行った。 観測地域の選定の条件として、周辺環境と長期にわたるバランスの上に形成された極相林地帯を含むこと、今後も長期間人為的な影響が少ないことが保証されていること、標高による環境の違いを因子として分析できることなどが重要であると考えた。これらの条件を踏まえて、国内では林野庁の設定した森林生態系保護地域から、対象地として吾妻山(図1)と屋久島を選定した。 蓄積する情報としては、複数の衛星データをはじめ、地形、地質、植生、土壌等の立地情報、森林資源調査情報等の森林情報(図2)、気温・降雨等の気象情報の集積が必要であった。データ集積システムとしては、長期的かつ継続的な作業の効率を考え、各種の情報を一つのソフトウェア上で扱えるものとした。図面のデジタル化では、デジタイザによる入力よりもスキャナによる入力の方が効率的で、最終的な精度も高いことが分かった。また、これらの情報を最新のものに更新するためにリモートセンシングデータを利用した(図3)。 リモートセンシングデータからは、可視光域のデータと近赤外域のデータの組み合わせによる指数をもとに、植生の季節的な変動の段階(展葉や紅葉の程度)を示す手法も考案した。これによって季節的な変動と標高との関連を時系列的に比較できるため、周辺の環境変化への植生の応答を長期にわたって効率的に観察できることが明らかになった。応用例として、吾妻山森林生態系保護地域周辺における積雪の変化の把握を試みたところ、斜面方位による積雪域の変化が容易に観測でき、変化の違いを標高をパラメータとして斜面ごとに比較することが、地域的な環境比較に有効であることなどが分かった。 また、日米地球観測情報ネットワーク(GOIN)を通じて、海外の関連機関とこれらの情報交換を開始している。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
カテゴリ | データ集積 モニタリング リモートセンシング |