森林セクターの炭素固定機能評価モデルの開発

タイトル 森林セクターの炭素固定機能評価モデルの開発
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 天野 正博
発行年度 1998
背景・ねらい 京都で開催された第3回気候変動枠組み条約締約国会議で合意された京都議定書に吸収源を評価することが盛り込まれ、森林や木材として炭素がどの程度固定されるのか数量的に算出する必要性が高まった。このため、将来における森林や木材(森林セクター)としての炭素固定量が木材生産活動の展開の仕方によりどのような影響を与えるかを、政策担当者は事前に把握する必要がある。そこで、我が国の長期的な森林資源政策に位置づけられている森林資源基本計画作成システムに修正を加え、林業政策により森林セクター内の炭素固定量がどう変化するかを評価する手法を開発する。
成果の内容・特徴 以下の四つの政策シナリオに基づく森林・住宅部門の温暖化軽減方策の評価を行った。
  • 現状の木材供給のまま安定的に推移(現状維持)
  • 長伐期を採用(長伐期)
  • 国産材供給を積極的に推進(積極振興)
  • 国産材供給を中庸に推進(多少振興)

各シナリオに基づく今後50年間の人工林、天然林及び住宅部門を合わせた炭素固定量の推移は図1のように、人工林からの木材供給量は図2のようになった。国産材振興策では2015年の国産材生産量は図2に示すように約4000万m3と現在の供給量に比べ倍増になると予想された。ただ、図1から明らかなように2034年以降は森林の蓄積を減少させることになり、地球温暖化への持続的な貢献という点では望ましくない。炭素固定量という点においては長伐期政策がもっとも望ましい。各森林所有者の伐採傾向をみても、伐採時期を延長しようという傾向が見られるので、温暖化の軽減に貢献する長伐期政策に移行することは、それほど難しくないと思われる。ただし、木材生産量は森林資源の成熟化にもかかわらず現状のまま横這いで推移する。これは国内林業の一層の停滞を招くとともに、日本の木材市場で輸入材のシェアが増加するため、熱帯地域からの木材輸入も増加する可能性があることから、望ましくない。国産材を中庸に振興させようというシナリオでは、2015年での木材生産量も3346万m3に増加する一方で、森林蓄積も持続的に増加し続け、国内林業の振興と温暖化軽減のために森林蓄積の増加させるという双方の目的を満たしている。

なお、本研究は環境庁地球環境研究総合推進費による。
図表1 212475-1.gif
図表2 212475-2.gif
図表3 212475-3.png
図表4 212475-4.png
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