古代木造架構の復元力特性

タイトル 古代木造架構の復元力特性
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 軽部 正彦
林 知行
原田 真樹
発行年度 1998
背景・ねらい 平城京遷都1300年記念として、奈良平城宮跡に「第一次大極殿」を復原する計画が進んでいる。この計画実現のためには、特に地震に対する構造の安全性を検証する必要がある。古代の大規模木構造物では、建物が傾いても重い屋根の重量によって元の位置に戻そうとする太い柱と、その柱間を埋める重厚な土壁が耐震要素であるため、両者の特性を把握することが必要となる。そこで実大の斗組(ますぐみ)、架構、及び土壁の加力実験を行い、地震時に加わる水平方向の力に対する抵抗、及び傾いても元に戻る特性を把握するとともに、伝統的架構形式が持つ耐震メカニズムの解明を試みた。
成果の内容・特徴 復原計画中の「第一次大極殿」から斗組(ますぐみ)、架構、土壁の三つの部分を抽出して、当時の施工仕様を踏襲した実物大の試験体を作製した。加力実験は、屋根などの建物上部の重量に相当する鉛直力を柱の軸心に加えつつ、地震力に相当する横からの水平力をゆっくりと加え、試験体がその力にどのように抵抗し、かつ復元していくかを計測・観察した(図1、図3、図5)。

実験の結果、斗組は高いエネルギー吸収能力を持って水平力に抵抗すること(図2)、架構は大変形を受けてもエネルギーを吸収しないで元の形に復元すること(図4)、傾いた柱の復元力は傾きが一定値を超えると徐々に低下するが、外力を除くとほとんど元通りの形に戻るという極めて特徴的な履歴性状を示すことなどが明らかになった。土壁は、それらにも増して大きな抵抗力を示すこと(図6)、また重厚かつ簡素であるにもかかわらず、比較的容易に作製できることが確かめられた。

なお、本研究は、奈良国立文化財研究所の第一次大極殿復原計画に基づいて、設計を受託した財団法人文化財建造物保存協会との共同研究である。
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カテゴリ くり

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