| タイトル | 鳥が虫を食べることで樹木の成長は促進されるか |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
日野 輝明 |
| 発行年度 | 2000 |
| 要約 | 鳥が利用できないように網掛けした樹木では、食葉性昆虫の数と葉の被食量が増え、翌年の葉とシュートの長さが短かくなることが確認され、鳥による昆虫の捕食が樹木の枝葉の成長に及ぼす効果が明らかになった。 |
| 背景・ねらい | 春に樹木の新葉が展開し始めると、食葉性のかやハバチの幼虫(いわゆるイモムシ)が現れ、昆虫食の鳥たちにとっては春から夏にかけての最も重要な餌資源となる。それでは、鳥は虫を食べることで樹木の成長にどのような影響をもたらしているであろうか。これは森林生態系の中で鳥が果たす役割を知る上で欠かすことのできない情報である。本研究の目的は、森林内の樹木に網掛けによる鳥除去区と対照区を設けて、イモムシの数、葉の被食量、葉とシュート(当年生枝)の成長量を比較することで、鳥による虫の捕食が樹木にもたらす間接的な影響を明らかにすることである(図1)。 |
| 成果の内容・特徴 | 奈良県大台ヶ原の森林の優占樹種であるブナとオオイタヤメイゲツの低木に対して、鳥除去区と対照区を5本ずつ設置した。調査を行った5年間のうち1997年と1998年にブナでハバチの幼虫が大発生したが(図2)、樹冠で昆虫をとる鳥(おもにシジュウカラ科)の密度は、餌量の変化にかかわらずほぼ一定であった。この原因として、巣場所となる樹洞による制限が考えられた。 鳥による捕食の効果の有無は、ハバチが大発生したかどうかで異なる結果が得られた(表1)。通常の年には、対照区よりも鳥除去区で、イモムシ密度が高い、葉の被食量が大きい、翌年度の新生シュートと葉の長さが短いという関係が、両樹種で得られた(図1、表1)。一方、大発生のあった年にはそのような効果はなかった。これは鳥の個体数が餌条件にかかわらず一定で、鳥による捕食量のイモムシ全体の量に占める割合が、大発生時には小さくなったためである。また、ブナでのハバチの大発生にともなう捕食効果の消失は、オオイタヤメイゲツでも同じように生じた。つまり、ブナのハバチは、その個体数の変動によって他の樹種につく虫の密度や枝葉の成長にも影響をおよぼしていた。しかしながら、ブナでのハバチの大発生頻度は10年に1回程度であるため、通常時の鳥による食葉性昆虫の捕食が樹木の枝葉の成長を促進する効果は十分に大きいと考えられる。 さらに、鳥による捕食の効果はブナよりもオオイタヤメイゲツで大きかった。これは鳥がブナよりもオオイタヤメイゲツを好んで利用していたためである(図2)。葉が水平方向に出て葉柄の短いブナよりも葉が垂直方向に出て葉柄の長いオオイタヤメイゲツのほうが、鳥にとって虫を探したり採ったりしゃすいのだと考えられる。つまり、樹種間の枝葉の形状の違いが、鳥による選好性と、それにともなう捕食効果の違いをもたらしていた。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| カテゴリ |
| GISを利用した地域資源の推移と供給予測システム(支援システム)の開発 |
| 森林火災が発生する危険度の評価には、落葉層の含水率推定が重要である |
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