情報通信技術(IT)を用いた地すべり総合管理手法の開発

タイトル 情報通信技術(IT)を用いた地すべり総合管理手法の開発
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 岡本 隆
松浦 純生
浅野 志穂
竹内 美次
発行年度 2000
要約 森林生態系におけるCO2動態の解明に重要な林床面CO2放出量評価のため、落葉広葉樹林内において自動開閉型チャンバを用いた長期連続測定を行い、林床面CO2放出量と環境因子との関係を明らかにした。
背景・ねらい 近年、多くの地すべり地が対策工事により安定した地盤へと生まれ変わっている。しかし対策構造物の効果減退や新たな不安定斜面の発生などに起因して、地すべりが再活動する可能性が指摘されている。そのため幹線道路や住宅地など重要な保全対象を持つ地すべり地に対しては、工事概成後も監視を継続し、地すべりの徴候を早期に発見して再発を防ぐ必要がある。本研究の目的は、概成を迎えた地すべり地を対象として、ネットワークなどの情報通信技術(IT)を活用した自動観測システムと地理情報システム(GIS)を軸とした地すべり総合管理手法を確立することにある。
成果の内容・特徴 対象地は静岡県の由比地すべり防止区域である。本地すべりの主な誘因は降雨であるため、地すべりの移動(孔内傾斜、地中伸縮量)に加え、その誘因となる降雨、間隙水圧を観測するセンサー、地震計、および監視カメラを複数設置した。観測データを管理する自動観測システムは、目的に応じて複数のコンピュータで構成し、それぞれをISDN回線、TCP/IPプロトコールで相互に接続してイントラネットを形成した。システムの核となるデータベース装置(UNIX)は、現地から定期的に送信される計測データを蓄積すると同時に管理基準値に対する超過判定をおこない、万が一、基準値超過が認められた際には、各関係機関に対し自動的に電話、FAX、電子メールによる警戒通知を発信する(図1)。一方、各関係機関には情報端末(データ表示・監視装置、Windows NT)を用意した。この端末からデータベース装置内に用意されたホームページ(図2)に接続すれば、遠隔地から地すべり地の最新観測データを常に把握できる。接続に要する操作方法はインターネット上のホームページ閲覧と同様のため、ネットワークに精通していなくても使用できる利点がある。

また、地すべり地の地形地質や膨大な調査・工事情報を効率的に管理するため、各情報をGIS(地理情報システム)によって一元的に管理した。GISの特徴である複合検索、レイヤー(重ね合わせ)機能を用いて最適避難経路や危険地の判定ができ、また地すべり地の地質や対策工の状況を立体表示することで視覚的な情報を提供することもできる(図3)。

本研究によって開発された地すべり自動観測システムは、平成13年度から由比地すべり防止区域において採用されているが、本手法はこれに留まらず、全国の地すべり地における対策工事概成後の総合管理手法として先駆的役割を担うことが期待される。

なお、本研究は林野庁治山事業調査費「自動観測システムによる地すべり地の総合管理手法の確立」で実施した。
図表1 212534-1.gif
図表2 212534-2.gif
図表3 212534-3.gif
図表4 212534-4.png
図表5 212534-5.png
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カテゴリ 傾斜地 データベース

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