タイトル | カメラとレーザーポインタを使って木の位置を測る |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
山口 浩和 田中 良明 陣川 雅樹 毛綱 昌弘 井上 源基 |
発行年度 | 2002 |
要約 | カメラ映像上の対象物に照射したレーザーの輝点位置を3次元座標で自動認識する装置を開発し、野外においても林業機械の自動化に必須となる作業機到達範囲(2~10m)で1cm以内の精度を有する位置情報を得た。 |
背景・ねらい | 傾斜不整地で行われる森林作業は、作業の省力化、効率化とともに安全性を確保することも重要な課題である。これらを同時に解決するため、離れた場所から複数台の林業機械を1人のオペレータで操作できるテレコントロールシステムの開発を進めている。 林業機械を離れた地点から無線操作する場合、オペレータは機械に取り付けられたカメラの映像を見ながら機械の操作を行う。しかし、カメラ映像だけを頼りに機械を操作すると、遠近感や機械自身の姿勢などの情報が欠落し、操作性が低下する。そこで本研究では、欠落した情報を補うとともに、機械操作に有用な情報をオペレータに提供することを目的として、カメラ映像をもとに機械と作業対象物との相対的な位置関係や作業対象の大きさや形状を自動計測する装置の開発を行った。 |
成果の内容・特徴 | 開発した3次元座標位置計測装置は、カメラで捉えた画像上の作業対象物に、カメラから離れた位置にあるレーザーポインタからレーザーを照射し、与えられた輝点の3次元位置を、画像処理手法を用いて自動的に計測する装置である。その原理はカメラとレーザーポインタの間隔を基線長とする三角測量であり、作業対象物の3次元座標値は、レンズ中心とカメラ画像上に投影された輝点位置(UV座標)を結ぶカメラ視線とレーザー光直線の交点として算出される。 レーザーポインタは、オペレータが任意の方向へレーザーを照射できるように、2つの回転軸を持つ回転台に取り付けられている。各回転軸にはロータリーエンコーダが取り付けられており、回転角度を計測できる。レーザー光の直線式は、各軸の回転角度から特定することができる。 一方、カメラ視線の直線式を特定するためには、画像上の輝点位置のUV座標値を求める必要がある。輝点のUV座標は、輝点位置自動検出装置により、カメラとレーザーポインタの発光タイミングを同期させ、発光させたフレームと発光させないフレームを減算処理することにより求められる(図3)。これにより求められたUV座標値と、あらかじめ分かっているカメラのレンズ中心や方向、焦点距離といったパラメータからカメラ視線の直線式が特定される。 本装置の計測精度を明らかにするために、対象物の3次元位置計測試験を行った。試験では、カメラとレーザーポインタとの間隔(基線長)を1.0m、1.5m、2.0mの3段階に設定し、2.0m~10.0mの距離にある対象物の位置計測を行い精度の検証を行った。その結果、測定精度は、測定距離が長いほど低下し、遠距離の計測では、基線長が長いほど精度の向上が見られた。しかし、計測装置から近い距離では、基線長による差は小さいことが示された(図4)。以上のことから、作業範囲が2.0m~6.0mであるこの種の林業機械に対して、本装置を使用する場合、基線長を1.5m~2.0mの間に設定することで、計測精度をlcm以内に確保できることが明らかとなった。これは作業機を操作する上で充分な精度といえる。また、図5は本装置を利用して作業対象物をスキャニングし、その結果を画面に出力したものである。このように作業対象物の位置のみならず、大きさや形状等の情報をオペレータに提供することが可能となった。 本装置を、作業機を取り付けるアーム先端部の位置制御技術と組み合わせることにより、オペレータが画面上の位置を指示するだけで、作業機を対象物まで自動的に移動させることが可能となり、操作の簡易化・自動化が実現できる。 なお、本研究は本所交付金プロジェクト「林業機械のテレコントロールシステムの開発」による。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
図表7 | ![]() |
図表8 | ![]() |
図表9 | ![]() |
図表10 | ![]() |
カテゴリ | 画像処理 自動計測 省力化 |