タイトル | 観光レクリエーションのため、森の管理が効果的な場所とは? |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
田中 伸彦 高山 範理 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 観光レクのために森林管理を行うと効果的な重要地区を判定するとともに、その地区の地形や土地利用の特性や観光レク資源・施設の特性を解析し、地域森林計画区における森林管理の方向性を示す手法を開発した。 |
背景・ねらい | わが国では、ほとんどの観光レクリエーション地のまわりに森林があります。そして、まわりに存在する森林のおかげで、美しい風景を楽しんだり、野鳥や動物との触れ合あうことができます。したがって、すべての観光レクリエーション地の周辺で、そのような体験を増やすような森林づくりが望まれています。 ただし、現実には、効果的な観光レクリエーション体験のために積極的な森林づくりを行える森林の面積は、ごく一部に限られてしまいます。そのため、森林づくりが特に効果的な地区はどこなのか判断し、計画的に管理を行うことが必要になります。 そのような背景を考慮して、観光レクリエーション資源や施設の分布状況から、森林づくりを行うことが効果的な重要地区を判定する手法を開発し、さらに重要地区の地形や土地利用の状況、あるいは観光レクリエーション資源の特性を分析して、わが国の森林計画に活かす方法を検討してみました。 |
成果の内容・特徴 | 地勢や林況の異なる地域での解析図1の左に示したとおり、茨城県の(1)八溝多賀流域(中山間市町村が多い流域)と(2)霞ヶ浦流域(都市近郊の平地流域)という、地勢や林況などが大きく異なる2流域を対象に、地理的メッシュ解析手法を用い、観光レクリエーション資源や施設が集中している地区を、森林づくりを行うと効果的な重要地区としました。2つの流域内の観光レクリエーション資源・施設の数は、1km2あたり、八溝多賀流域で0.23箇所、霞ヶ浦流域で0.24箇所と大きな差違はありません。また、観光レクリエーションのための森林づくりが特に効果的だと判定された重要地区も、八溝多賀流域で36箇所(図1の右)、霞ヶ浦流域で75箇所で、単位面積あたりに換算すると大きな差違はありません。 地域によって異なる特性しかしながら、図2に示したとおり、(1)八溝多賀流域では、凹地状の谷あいの集落に造った山間レクリエーション施設や、川沿いの湿原・渓流釣りなど自然資源に依存した観光レクリエーション地区が、(2)霞ヶ浦流域では、平地に点在する市民の森や神社仏閣などの平地林や、伝統的な城下町や研究学園都市などの市街地を中心とした観光レクリエーション地区が多く見られるなど、流域によって大きく異なる特性を見ることができました。つまり、わが国において、観光レクリエーションのために行う森林の管理を考えるにあたっては、本研究で行った手順で、国内の全158流域を対象に、観光レクリエーションの観点から森林管理上重要な地区を判定し、その地区で森林管理を行うことの意味や、その地区の地形や土地利用構造の特性を明らかし、各流域に沿った個別の管理計画を樹立することが重要です。そして、得られた結果を森林計画に的確に反映させ、望ましい森林づくりに生かすために、市民参加や合意形成制度を充実させ、観光レクリエーションを考慮した地域森林管理の体系を作り上げる必要があります。 詳しくは:田中伸彦(2004) 日本林学会関東支部大会発表論文集55をご覧下さい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | くり 中山間地域 |