間伐は人工林のバイオマス成長を促すのか?

タイトル 間伐は人工林のバイオマス成長を促すのか?
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 細田 和男
家原 敏郎
松本 光朗
小谷 英司
発行年度 2004
要約 20~66年間にわたって計測した国有林内の間伐比較試験地21ヶ所のデータを解析したところ、無間伐林よりも間伐林のほうが地上部のバイオマス成長量が大きい場合が多く、二酸化炭素の吸収固定の面からも間伐が有効であることがわかりました。
背景・ねらい 間伐は人工林の経済的な価値を高めるのに不可欠な作業です。また風害や雪害に遭う危険性を減らしたり、林床植生を繁茂させて表層土壌を保護し、山地災害防止や水源かん養など森林の多面的機能の発揮に役立つといわれています。さらに近年、地球温暖化問題に関連して、森林が二酸化炭素を吸収し固定する役割や、森林バイオマスのエネルギー利用にも注目が集まるようになりました。
このような新しい観点からみた場合、間伐はどのような効果をもたらしているのでしょうか。全国各地の国有林において、20~66年間にわたり計測され続けている21ヶ所の間伐比較試験地のデータから、地上部バイオマス(生きている樹木の幹・枝・葉の乾燥重量)の成長量を比較しました(図1、写真1)。なお、バイオマスの50%は炭素であり、バイオマス成長量が大きいほど二酸化炭素の吸収固定量が大きいことになります。
成果の内容・特徴

間伐後5~10年では

21ヶ所の間伐比較試験地において、間伐を行った林(間伐林)と間伐を行わなかった林(無間伐林)の、間伐前後における一定期間のバイオマス成長量を、比較可能な19の間伐事例で解析しました(図2)。その結果、間伐直後は一時的に無間伐林に比べ間伐林の成長が劣ってしまいますが、間伐後5年以降の期間では逆転して間伐林のほうが優勢になる場合が多いことがわかりました。つまり、間伐後5年から10数年程度の期間でみれば、間伐がバイオマス成長を、言い換えれば二酸化炭素の吸収固定を促進しているといえます。

全期間では

次に植林から現在までのバイオマス成長量を比較しました(図3)。まず生立木(せいりゅうぼく:現時点で生存している樹木)だけで見ると、ほとんどの試験地で無間伐林のほうが大きくなっていました。しかし、間伐によって過去に収穫された量を加算すると、21試験地中18試験地で逆に間伐林のほうが大きくなっていました。つまり間伐をすると生立木は減るものの、間伐木も含めて考えれば、無間伐林より間伐林のほうがバイオマス成長量が大きい場合がほとんどだったのです。

間伐は二酸化炭素固定に有効

間伐木を運び出して木材として有効に利用すれば、そのあいだ建築物や木製品の中に炭素が貯えられているので、二酸化炭素を固定し続けていると考えることができます。すなわち、植林から皆伐までの長期間を評価した場合でも、間伐は二酸化炭素の吸収固定を促進しているということができるでしょう。

本研究は環境省地球環境保全試験研究費「透明かつ検証可能な手法による吸収源の評価に関する研究」による成果です。
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カテゴリ 乾燥

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