タイトル | 国際的基準に基づいて森林をどのようにはかるか? |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
牧野 俊一 大河内 勇 岡部貴美子 田中 浩 飯田 滋生 山口 岳弘 黒田 慶子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 将来にわたって森林を利用する目的で、国際的基準に基づいて森林を測定し、適切な管理をすることになりました。そこで他の国々と話し合いながら、日本の国土の67%を占める森林の多様性や健全性を測る手法を開発しました。 |
背景・ねらい | 森林は水や酸素を供給し、土を作り、様々な生き物を育み、人の心に潤いをもたらす、私たちの生活にとってかけがえのないものです。森林の重要性に気づいた世界各国は各グループごとに、末永く森林の恩恵に浴するために国際的な合意に基づいた森林の管理が必要であるという共同声明を出しました。日本はそのうちの一つ、モントリオールプロセスというグループに所属しています。このグループは国際的な6つの基準を作り、それぞれが自国の森林を継続して測定することを提案しました。そこで私たちは他の国々と議論しながら、国際基準に基づいた日本の森林の測定方法を開発しました。 |
成果の内容・特徴 | 全てを測らずに代表を測る森林には気が遠くなるほどたくさんの生き物がいます。数十mの樹高を持つ巨木から目に見えない微生物まで全てを測ることは不可能です。そこで、私たちは林の年齢がわかればどんな生物がいるのかが予測できるのではないかと考え、植物、昆虫、きのこの種類数を測ってみました。すると伐採跡地では草本やチョウの種類が多く100年を超える林では少ないが、樹木やきのこ、甲虫はむしろ老齢林で多いなど、林の年齢と生息する生物には関連があることがわかりました。つまり、林の年齢や木の太さで森林の多様性を大まかに測れることがわかったのです。一度に広い範囲を測定する日本の全ての森林生物を測定するのは大変な仕事です。そこで私たちは、まず北方の比較的単純な天然林施業地域ならば広範囲に測定できるのではと考えました。そこでは、行われた作業の種類によって植物の種数が異なることがわかったので、衛星画像から択伐などの作業の種類を読み取る方法を開発しました。この方法だと、一枚の画像で人が歩くよりも遙かに簡単に、広い地域の植物多様性を測れることがわかりました。外見から健康かどうか判断する森林の1本1本の木の健康診断は時間も手間もかかる仕事です。そこで、森林や木の外見から判定できないかと考えました。遠くから森林のこずえを見ることにより、葉の枯れ方から森林の健康度を測れることがわかりました。これらのアイデアをもっと発展させ、将来は世界で共有できる森林の健康診断マニュアルが作れるようになると考えています。 本研究は、交付金プロジェクト「国際的基準に基づく持続的森林管理指針に関する国際共同研究」による成果です。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
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