機械化施業による林地への影響を調べる -機械化施業データベースの開発-

タイトル 機械化施業による林地への影響を調べる -機械化施業データベースの開発-
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 田中 良明
山口 浩和
上村 巧
毛綱 昌弘
陣川 雅樹
井上 源基
今冨 裕樹
岡 勝
吉田智佳史
近藤 耕治
発行年度 2004
要約 林業機械を使った森林施業から3~5年たった跡地において、土壌の保全性や植生の多様性への影響を調べる全国調査を実施しました。調査結果にもとづいて機械化施業データベースを構築しました。
背景・ねらい 立木価格の低下により大変厳しい状況にあるわが国の林業では、コスト削減の切り札として、平成元年頃から、これまでにない新しいタイプの林業機械の導入が始まりました。こうした機械の中には、いままでに用いられてきた林業機械とは異なり、森林の中を走行しながら立木を伐倒するものがあります。また、土木工事などで用いられるパワーショベルにウインチを装備して、手間がかかる架線集材を簡易に行うものもあります。森林の伐採には山を荒らすというイメージがつきまとうのですが、こうした新しい林業機械を導入した森林施業は森林の植生や土壌にどのような影響を与えているのでしょうか。
成果の内容・特徴

機械化施業が土壌保全性や植生多様性に与える影響

調査は全国規模で行われ、伐採から3~5年経過した跡地において、100m2の調査プロットを設けて行いました。地表や植生の状態などを調べ、林業機械による作業システムや伐採方法との関係を調べました(図1)。車両や木材の移動によって生じた、地表の締め固めや土の流失した部分を影響域として定め、その面積を計測しました。
その結果、この影響域の面積は、点状間伐や列状間伐のほうが皆伐を行った場合よりも小さいこと、架線系、特に軽架線を用いるシステムが車両タイプの林業機械を導入したシステムよりも小さいことがわかりました(図2、3)。また、調査プロットにおいて植生多様性について5段階評価による主観的評価を行った結果が、この影響域と関係があることもわかりました。つまり、この影響域の面積が小さいほど植生多様性の評価が高くなることが示されました(図4)。機械化された施業であっても、森林の地表面の状態に注意して作業を進めれば植生も豊かに回復するのです。逆に、皆伐や車両系を使った作業を行う場合には土壌の保全を十分に考慮する必要があります。

機械化施業データベース

林業機械による機械化施業が森林にどのような影響をあたえるかについて全国的に行われた調査は、今回が始めてです。データには調査プロットの傾斜といった地形条件、植生の種類、土の状態なども含まれています。わが国で行われているほとんどのタイプの機械化施業の調査事例が網羅されているので、環境により適合した森林作業を実現するためのデータとして活用することができます。また、これらのデータは、どのような地域で、どのような条件のところで、どのような林業機械が使われているのかといった別の視点からのデータとしても活用できるはずです。そのため調査結果をデータベース化しました(図5)。森林総合研究所では林業機械や森林作業に関する様々なデータを保有しており、今後もこのデータベースを充実させていきます。

本研究は、社団法人林業機械化協会の委託をうけて、北海道、岩手、宮城、新潟、栃木、長野、岐阜、和歌山、愛媛、山口、福岡の各県と共同で実施しました成果です。
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カテゴリ 機械化 コスト データベース

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