ヒノキチップ畳のダニ防除効果と木材の香り成分の人へのリラックス効果

タイトル ヒノキチップ畳のダニ防除効果と木材の香り成分の人へのリラックス効果
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 平松 靖
森川 岳
恒次 祐子
宮崎 良文
発行年度 2004
要約 ヒノキチップを原料とした畳の香り成分にはダニ防除効果があること、ならびに木材の主要な香り成分(α-ピネン、リモネン)には人をリラックスさせる効果があることがわかりました。
背景・ねらい 家の中に生息するヤケヒョウヒダニなどのチリダニ類、ならびにそれらのフン(写真1)や死骸は、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患を引き起こすことが知られています。ダニが原因となるアレルギー性疾患を防ぐためには、家の中のダニ数を減少させ、ダニと接触する機会を減らすことが重要であり、近年、天然物である木材の香り成分を利用したダニ防除に注目が集まっています。また、木材の香りが人に快適感を与えることは経験的に知られていますが、その効果を有効利用するためには、香り成分が人に与える効果を科学的に明らかにし、データを蓄積することが必要です。
そこで本研究では、ヒノキチップを原料とした畳床を用いて、木材の香り成分のダニ防除効果を調べ、さらに木材の主要な香り成分を用いて、それらが人の快適感におよぼす生理的効果について調べました。
成果の内容・特徴

ヒノキ畳のダニ防除効果

ヒノキチップを圧縮・成型・縫製して作製した畳床(ヒノキ畳)(写真2)を用いて、ダニの行動抑制実験を行いました。図1は作製してから6週間経過したヒノキ畳を用いて行った実験の結果です。実験開始から5日後には動いているダニは見られず、ヒノキ畳から揮発する香り成分には強いダニ行動抑制効果があることがわかりました。さらに、その効果は、8ヶ月間持続することもわかっています。

木材の香り成分の人へのリラックス効果

木材の主要な香り成分であるα-ピネンとリモネンを、人がかいだときに「弱いにおい」と感じる程度の濃度に調製しました。それらを17名の男子大学生に吸入してもらい(写真3)、そのときの血圧を1秒ごとに測定しました。α-ピネンあるいはリモネンを吸入したときには、収縮期血圧(最高血圧)が、吸入前に比べて低下することがわかりました(図2)。この結果は、木材の香り成分が人をリラックスさせることを示しています。
以上から、木材の香り成分は、(1)ダニを防除するはたらきをもつこと、(2)人に対して生理的快適性増進効果をもたらすことがわかりました。これらの成果は、日常生活において木材の香り成分を有効利用するための基礎データとして活用されることが期待できます。

本研究は、交付金プロジェクト「木質建材から放散される揮発性有機化合物と快適性増進効果の解明」および飛騨フォレスト(株)との共同研究「木材チップを用いた畳のダニ防除効果の解明」による成果です。
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カテゴリ 病害虫 香り成分 防除

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