超・亜臨界水処理ベンチプラント*製造と木材糖化液のエタノール発酵

タイトル 超・亜臨界水処理ベンチプラント*製造と木材糖化液のエタノール発酵
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 松永 正弘
松井 宏昭
野尻 昌信
大塚 剛樹
山本 誠一
発行年度 2006
要約 バイオエタノールや化学工業材料の原料となるグルコース、オリゴ糖等の糖類を木材から直接効率的に生産できる超・亜臨界水処理ベンチプラントを開発しました。
背景・ねらい 木質資源は光合成によって作り出される再生産可能な循環型資源です。そのため、石油や石炭をはじめとした化石資源の代わりにエネルギー原料や化学工業原料等を製造するための技術開発が強く求められています。
私達はこれまで、超・亜臨界水を用いて木材からバイオエタノールや工業材料の原料となる単糖やオリゴ糖を効率よく生産するための処理方法について研究を進めてきました。小型装置を使った実験の結果、超・亜臨界水処理で木材を高速に糖化できることがこれまでにわかりました。そこで、今度はさらにスケールアップさせたベンチプラントを設計・製造し、将来の実用可能性を検証するための実験を行いました。
成果の内容・特徴

ベンチプラントを使った木材の超・亜臨界水処理

超・亜臨界水とは高温・高圧の水のことで(図1)、木質バイオマスをはじめとした有機物を短時間で低分子化することができます。しかも水と熱のみを利用したクリーンな反応なので、環境にも配慮した処理技術です。小型の処理装置を使ってこれまでに得られた実験結果を元にして、今回、図2に示すような連続処理も可能な超・亜臨界水処理ベンチプラントを開発しました。反応器の内容積は約2リットル、最大木粉処理量は約500gで、従来の小型装置の約17倍の処理能力を持っています。
このベンチプラントを用いてスギ木粉を300~325℃・15MPaの超・亜臨界水で処理したところ、反応液中には小型装置の時と同様にグルコースやオリゴ糖などの水溶性糖類が生成していることが確認されました(図3)。また、糖収率は約40%で、小型装置の時の糖収率とほぼ同じでした。これらの結果から、大型化したベンチプラントでも超・亜臨界水処理による木材からの糖生産が十分可能であることがわかりました。

反応液のエタノール発酵

生成した反応液を使ってエタノール発酵実験を行いました。酵母培養液をビーズ状に固定化してチューブに詰め、そこにグルコース濃度が1.3mg/mlの超・亜臨界水処理反応液を流して連続的に発酵させました(図4)。3日で約500mlの試料を通液させたところ、反応液中のグルコースはほぼ完全にエタノールに変換されました(図5)。通液速度が速いとエタノールに変換できないグルコースが多くなりますが、通液速度を調節することで変換率を100%近くまで向上することができました。
今後は、ベンチプラントを用いて超・亜臨界水処理に必要なエネルギーやコストをさらに削減できるような処理条件を検討するとともに、効率よくエタノール発酵ができるように反応液の糖濃度を高める方法や発酵阻害成分の影響について検討していく予定です。

本研究は、農林水産技術会議委託費「超臨界水及び亜臨界水処理による高度資源化技術の開発」による成果です。

*ベンチプラント;小型試験プラントのことです。実用化レベルの大規模処理プラントを開発するためには、実験室レベルの小型装置からベンチプラント、パイロットプラント…と徐々にスケールアップさせ、検証を進めながら大型化させていきます。
図表1 212696-1.gif
図表2 212696-2.gif
図表3 212696-3.gif
図表4 212696-4.gif
図表5 212696-5.gif
カテゴリ くり コスト

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