森林整備施策の立案・実施・評価に不可欠な県民の協力

タイトル 森林整備施策の立案・実施・評価に不可欠な県民の協力
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 石崎 涼子
都築 伸行
鹿又 秀郷
発行年度 2008
要約 森林整備のために政府が支出する経費について統計分析や実態調査を行ない、2000年以降に一部の地方自治体では県民との関わりを強めながら自ら財源を確保して森林整備施策を実施していることを明らかにしました。
背景・ねらい 2000年以降、公共事業を行なうための国から地方自治体への支出が全般的に縮小しています。その影響で、県レベルでは間伐や植林といった森林整備施策のための経費について、環境保全や雇用確保などの観点から何とか確保しようとする様々な動きも起こっています。例えば、森林環境税や緑の雇用事業等がそれに当たります。こうした森林整備施策を巡る動きは、林業経営体の行動や持続可能な森林経営のあり様に強く影響を与えます。
そこで本研究では、国による施策が持続可能な森林経営に及ぼす影響を検討するために、2000年代前半(2000年~2005年)における財政統計データの分析と実態調査を通じて、森林整備に関わる県レベルの施策がどのように変化してきているのかを明らかにしました。
成果の内容・特徴

森林整備に関わる予算の重点配分

国や地方自治体が民有林に対する諸施策を行なうために支出する経費は、2000年以降大きく減少しています(図1)。民有林の森林整備に関わる支出は、おおよそ都道府県の「造林」という経費で捉えることができます(図2)。「造林」の事業費も2000年代前半(2000年~2005年)に年々減少していますが、その減少の規模が他の公共事業と比べて緩やかに抑えられています(図3)。この意味で予算が重点的に配分されているといえることが分かりました。また、都道府県別にみると、国からの補助を受けずに行う「造林」の経費を1990年代末よりも増額している自治体が少なからずあり、一部の自治体が自ら財源を確保して森林整備施策を拡大していることも分かりました。

森林環境税などによる財源確保

森林整備施策の財源を確保するために課す新税は「森林環境税」と呼ばれており、既に平成20年4月1日現在で29県に拡がっています。新税の収入は、多くの場合年間1~8億円程です。これは、各府県が現在自らの財源で行なっている造林の事業費と同程度かそれ以上、自治体によっては数十倍もの額に相当します。多くは、主に所有者が自らは手入れができなくなった森林を公的に整備する事業に充てられます。また、自治体によっては、新税ではなく、他の事業の予算を大幅に削減することで森林整備施策の費用を捻出しています。

森林整備施策に関わる県民

こうした財源確保は、森林・林業に深く関わる関係者のみで実現できるものではありません。幅広い県民の理解と協力が重要となり、森林整備施策の立案・検討、実施、評価の過程には以前より様々な形で居住地域や職業、所属団体等が異なる多様な人々が関わるようになっています(図4)。都市住民が積極的に関わることで、都市と山村との新たな関係を築く契機も生み出されています。
県民と一口に言っても、森林・林業の関わりの濃淡や視点は様々です。なかでも林業事業体などが持つ知見を如何に活用するかは、民間の力を活かして施策の効率や実効性を高めるうえでの鍵を握っています。行政としては、こうした民間の知識や活力を十分に生かせるような協議の場を用意し、施策の実施に反映させていくことが必要でしょう。

詳しくは:石崎涼子 (2008) 公私分担と公共政策(金澤史男編、日本経済評論社)、267-286、石崎涼子(2007) 山林、1475、62-68 をご覧ください。
図表1 212711-1.gif
図表2 212711-2.gif
図表3 212711-3.gif
図表4 212711-4.gif
カテゴリ 経営管理

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