幅はぎ・台形ラミナを用いて新構造用集成材を開発

タイトル 幅はぎ・台形ラミナを用いて新構造用集成材を開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 平松 靖
新藤 健太
宮武 敦
藤本 清彦
長尾 博文
原田 真樹
加藤 英雄
井道 裕史
軽部 正彦
宇京 斉一郎
神谷 文夫
野上 英孝
金田 利之
発行年度 2008
要約 幅はぎラミナと台形ラミナの強度評価を行うとともに、ラミナと集成材との強度関係を求め、日本農林規格(JAS)の強度基準を満たす構造用集成材が製造できることを明らかにしました。
背景・ねらい 直径の小さい丸太を集成材のラミナ*として有効利用するための技術に、台形材加工や幅はぎ加工があります。台形材加工は、図のように小さい丸太から台形の材を切り出す技術です。四角よりも円に近い形で材を切り出すので、歩留まりが高くなります。幅はぎ加工は木材を幅方向に接着する技術です。角材や台形材を幅はぎすることで、任意の幅のラミナ(幅はぎラミナ、台形ラミナ)を製造することができます。しかし、これらのラミナを日本農林規格(JAS)で定められた強度基準を満たす構造用集成材に利用するための強度や接着強さの評価方法は確立されていません。
そこで、各ラミナの製造方法とヤング係数*、強度との関係を求めるとともに、これらのラミナに対して一般的なラミナで用いられている品質管理方法が適用可能かどうかを調べました。
成果の内容・特徴

幅はぎ・台形ラミナのヤング係数および強度

幅はぎラミナ、台形ラミナは1枚のラミナが複数の角材あるいは台形材からできています。そこで、1枚のラミナの中にある複数の材のヤング係数の違いがラミナのヤング係数にどのような影響を与えるか調べました。その結果、角材あるいは台形材をランダムに組み合わせて作製した幅はぎラミナおよび台形ラミナのヤング係数は、それぞれのラミナを構成する材のヤング係数の平均値とほぼ等しい値をとることが分かりました。また、破壊試験の結果、幅はぎラミナ、台形ラミナのヤング係数と強度との相関が高いことが分かりました。

幅はぎ・台形ラミナを用いた集成材のヤング係数および強度

ヤング係数が明らかな幅はぎラミナ、台形ラミナをJASに従ったラミナ構成で積層接着して集成材を作製し、破壊試験を行いました。その結果、それらのヤング係数および強度はともにJASの構造用集成材に求められる基準を満たすことが分かりました。

ラミナの品質管理

一般的なラミナ(1枚のひき板)を用いて構造用集成材を製造する場合、ラミナをたたいたときの振動特性や、負荷をかけたときのたわみ量を測定することによって、ラミナ1枚1枚のヤング係数を測定し、ラミナと集成材のヤング係数や強度を管理しています。実験の結果、これらの方法は幅はぎラミナ、台形ラミナを用いて構造用集成材を製造する場合にも、品質管理方法として適用可能であることが分かりました。
この成果がJAS等に反映されることによって、直径の小さな丸太から歩留まり高く構造用集成材を製造することが可能になり、地域材の需要拡大に寄与することが期待されます。
台形集成材の製造については、津山国産材加工協同組合にご協力いただきました。

本研究は、交付金プロジェクト「スギ等地域材を用いた構造用新材料の開発と評価」による成果です。

詳しくは:野上ら、藤本ら、平松ら(2007)日本木材加工技術協会第25回年次大会講演要旨集、25-26、27-28、29-30の3報告をご覧下さい。

*ラミナ;ひき板とも呼ばれます。集成材の一つの層を構成する板で、複数の板を接着によってたて継ぎや幅はぎされたものもあります。
*ヤング係数;材料に負荷を与えたときの変形のしにくさ。材料の強度と統計的な相関関係を有しています。
図表1 212713-1.gif
カテゴリ 加工 需要拡大

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