オイルパーム幹の搾汁液からバイオエタノールを製造する

タイトル オイルパーム幹の搾汁液からバイオエタノールを製造する
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 田中 良平
山田 肇
発行年度 2008
要約 熱帯産未利用バイオマスであるオイルパーム幹を利用する研究開発から、その樹液がバイオエタノール製造の有力な糖原料となりうることを明らかにしました。
背景・ねらい パームオイルは、世界で最も利用されている植物油脂の一つです。その油を取る実がなるヤシ、すなわちオイルパーム(油ヤシ)はマレーシアなど熱帯諸国で栽培され、20~25年ごとに切り倒して植え替えをする必要があります。しかしながら、オイルパームの幹は水分が多く強度のバラツキが大きいために用材としての利用価値が乏しく、未利用のまま放置されているのが現状です。
そこで、幹の水分には糖分が多く含まれていることに着目し、これからバイオエタノールを作る研究開発を進めています。ここでは、幹と樹液に関するこれまでの研究成果と、エタノール原料としての可能性について紹介します。
成果の内容・特徴

オイルパーム幹サンプルの採取

オイルパームは幹から果房を外し、さらに果房から採取した実を搾ってオイルを取ります。幹の太さは30~60cm、高さは12mにも達します(図1)。ここでは植え替えのために伐採された幹(直径約30cm)から、およそ5センチ厚の円板を切り出して実験用のサンプルとしました。その円板をさらに中心(A)、中間(B)、外側(C)に分けて、それぞれの含水率、糖濃度を測定しました(図2)。

含水率と糖濃度

国産木材の含水率は樹種や部位によって異なるものの、おおよそ50~200%(全乾重量基準)の範囲内にあります。一方、オイルパームは、部位A、B、Cの含水率がそれぞれ502、313、217%と、木材に比べて非常に水分が多いことがわかりました(表1)。次に、試験片をプレス機で押しつぶし幹に含まれる樹液を採取して、樹液中の糖分を測りました。その結果、各部位ともに1mL中におよそ50~80mgのエタノールに変換しうる糖(シュクロース、グルコース、フルクトースなど)を含むことが明らかになりました。また、その濃度は中心に近いAやBの部分がCよりも高い傾向にあり、幹を部位別に分けることにより、効率よく糖濃度の高い樹液を採取できることが分かりました。

エタノールへの変換とその生産量

幹の中心部分Aからしぼった樹液を、清酒製造用の酵母によりエタノール発酵を行なったところ、糖に対して重量割合で50~60%のエタノールができることがわかりました。仮に一本のオイルパーム幹が直径40cm、長さ8mとすると、その重さは約1トンです。これに含まれる糖はおよそ50kgですので、25kg(=32L)ほどのエタノールが生産可能です。日本国内でバイオエタノール生産の原料となっているサトウキビの場合、1トン当たりの糖含有量は約110kgです。つまり、現状では廃棄物にすぎないオイルパームの幹が、サトウキビの半分程度とはいえ糖を大量に含むことから、有望なバイオエタノール原料となりうることが分かりました。今後は、マレーシアにおいてバイオエタノール製造の実証化を進めて行きたいと考えています。

本研究は、NEDO提案公募型開発支援研究協力事業「マレーシアにおけるオイルパーム幹(トランク)からの効率的燃料用エタノール製造技術の研究開発」による国際農林水産業研究センター、マレーシア理科大学との共同研究成果です。
図表1 212730-1.jpg
図表2 212730-2.gif
図表3 212730-3.gif
カテゴリ さとうきび

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