タイトル | 木質材料は「4VOC基準適合」建材 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
井上 明生 複合材料研究領域 積層接着研究室 塔村 真一郎 石川 敦子 大平 辰朗 |
発行年度 | 2009 |
要約 | シックハウス対策のため、4種類のVOC(揮発性有機化合物)について業界団体の自主基準が制定されました。木質材料はこの基準に適合することが分かり、「4VOC基準適合」建材として認められました。 |
背景・ねらい | 建築基準法によるシックハウス対策規制によって、平成15年からホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限が行われています。その後、ホルムアルデヒド以外のVOC(揮発性有機化合物)についても、安全性に関する表示制度の確立を望む声が多く寄せられてきました。平成20年4月1日に、(財)建材試験センターが主催する「建材からのVOC放散速度基準化研究会」において「建材からのVOC放散速度基準」が制定され、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレン(以下4VOC)の放散速度基準値が示されました。そこで、木質建材に関するVOC放散データを解析し、「4VOC基準」に対する適合性について検討を行い、同基準に適合するとの結果を得ました。 |
成果の内容・特徴 | 4VOC基準への適合性を判定するには、木材自体と木質材料に用いられる接着剤について調べる必要があります。木材(無垢材)の4VOC基準適合性木材(無垢材)については、標準法である小形チャンバー法(JIS A 1901)による測定において4VOCがほとんど検出されないこと、また、木材成分の生合成経路から判断して4VOCが生成される可能性がないことなどから建材からの4VOC基準(表1)に適合するものと判断されました。木材用接着剤の4VOC基準適合性主な木質材料用接着剤(ユリア樹脂、メラミン・ユリア共縮合樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂及び水性高分子−イソシネート系樹脂接着剤)からは4VOCの放散はほとんど認められず、これらの接着剤は4VOC基準に適合するものと判断されました。木質建材の4VOC基準適合性7品目95体の木質建材(合板:14体、集成材:14体、フローリング:20体、パーティクルボード:40体、ミディアムデンシティファイバーボード(MDF):5体、インシュレーションボード:1体、ハードボード:1体)について、4VOC放散基準に対する適合性を解析したところ、これらの木質建材は4VOC基準に適合するものと判断されました。これらの成果は、「木質建材からのVOC証明・表示研究会」報告書((財)日本住宅・木材技術センター)として取りまとめられました。この報告書は、(社)日本建材・住宅設備産業協会が平成20年10月1日より開始した「化粧板等のVOC放散に関する自主表示(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン)制度」(業界団体による自主制度)の根拠として活用されています。同制度において、上記の木質建材は「4VOCが基準値以下であることが確認されている資材」として認められることとなりました(表2)。 詳しくは:化粧板等のVOC放散に関する自主表示制度webページ http://www.kensankyo.org/kankyo/4voc/4voc_top.htm をご覧下さい。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | ゆり |