タイトル |
花持ち性の優れるカーネーション新品種「ミラクルルージュ」(系統番号:つくば1号)、「ミラクルシンフォニー」(系統番号:つくば2号) |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
1992~2004 |
研究担当者 |
小野崎隆
山口 隆
天野正之
池田 広
柴田道夫
谷川奈津
八木雅史
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発行年度 |
2004 |
要約 |
切り花の花持ち日数を指標とした選抜とその選抜系統間での交配を繰り返すことにより、遺伝的に優れた花持ち性を有するカーネーション「つくば1号」、「つくば2号」を育成した。両品種は、自然老化時のエチレン生成量が極めて少なく、シム系品種「ホワイトシム」の約3倍の優れた花持ち性を示す。
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キーワード |
カーネーション、花持ち性、エチレン生成量、交雑育種
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背景・ねらい |
花持ち性は花きの重要形質の一つであり、消費者は花持ちの良い切り花を求めている。カーネーションではチオ硫酸銀錯塩(STS)等の品質保持剤により花持ち性の向上が図られているが、これらの薬剤による環境汚染等の問題が指摘されている。そこで、薬剤処理を必要としない遺伝的に花持ちの良いカーネーション品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 1992年に6品種間で交配を行い、開花した195個体の花持ち日数を調べた(親世代)。1994、95年に花持ち性により選抜した親世代選抜系統間で交配を行い、開花した309個体の花持ち日数を調べた(第1世代)。1996、97年に花持ち性により選抜した第1世代選抜系統間で交配を行い、開花した398個体の花持ち日数を調べた(第2世代)。1998、1999、2000年に花持ち性により選抜した第2世代選抜系統間で交配を行い、開花した181個体の花持ち日数を調べた(第3世代)。翌年花持ち日数を調査し第3世代選抜系統を得た。2002年に第3世代選抜系統908-46、第2世代選抜系統702-21にそれぞれカーネーション「つくば1号(後のミラクルルージュ)」、「つくば2号(後のミラクルシンフォニー)」を付し、2003~2004年に系統適応性検定試験を実施した結果、実用品種として有望と判断された。
- 優れた花持ち性が最大の特徴である。「ミラクルルージュ」の花持ち日数は、17.7~20.6日、「ミラクルシンフォニー」の花持ち日数は17.9~20.7日と、シム系品種‘ホワイトシム’の3.2~3.6倍の優れた花持ちを示した(表1)。
- 「ミラクルルージュ」は「フランセスコ」よりやや暗めのシックな落ち着いた赤色(JHSチャート0415)の単色花、「ミラクルシンフォニー」は黄白(JHSチャート2501)に赤(JHSチャート 0415)の条斑の入る複色花である(図1、表2)。
- 花径は、「ミラクルルージュ」が6.7cm、「ミラクルシンフォニー」が6.4cmであり、がく割れの発生は全くない(表2)。
- 株当たり切り花本数は、両品種とも「フランセスコ」より少なく、「ノラ」と同程度である(表2)。
- 両品種とも、自然老化時のエチレン生成量が極めて少なく、通常の品種で花弁の老化が始まるときに起こるエチレン生成量の急激な上昇(クライマクテリックライズ)が全くみられない(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 全国のカーネーション生産地で栽培可能である。
- 開花直後の外生エチレンに対する感受性については通常の品種とほぼ同等であるので、エチレンにさらされた環境下では優れた花持ち性は示さない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
カーネーション
新品種
品質保持
品種
薬剤
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