デルフィニウムにおけるエチレン受容体遺伝子の単離と発現解析

タイトル デルフィニウムにおけるエチレン受容体遺伝子の単離と発現解析
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所
研究期間 2000~2002
研究担当者 市村一雄
棚瀬幸司
発行年度 2005
要約  デルフィニウムから2種類のエチレン受容体をコードしている遺伝子を単離し、その塩基配列を決定した。これらの遺伝子は雌ずい、花托、がく等の花器官で恒常的に発現している。
キーワード デルフィニウム、花持ち、遺伝子単離、エチレン、エチレン受容体
背景・ねらい  デルフィニウムはエチレン感受性が高いために、出荷前のエチレン作用阻害剤であるチオ硫酸銀錯塩処理が必須であり、生産者への負担となっている。エチレンが花の老化に関与することはよく知られているが、エチレン感受性機構には依然不明な点が多い。
 エチレン受容体は、その構造を改変することによりエチレン感受性を大幅に低下させることがシロイロナズナなどで報告されている。そこで本研究では、花きの老化において重要な要因であるエチレンに対する感受性機構を解明するとともに、遺伝子組換え等により花持ちのよい花の作出を可能にするため、デルフィニウムからエチレン受容体遺伝子を単離・同定し、花器官における発現を解析する。
成果の内容・特徴 1.
デルフィニウム‘ベラモーサム’より、エチレン受容体をコードしている遺伝子を2クローン単離し、それぞれDl-ERS1-3 とDl-ERS2 とした。Dl-ERS1-3 とDl-ERS2推定されるアミノ酸配列は80%の相同性があり、それぞれ605個と596個のアミノ酸から構成される(図1)。また、他の高等植物のエチレン受容体遺伝子と55%以上の相同性がある。これらの配列には膜貫通領域とヒスチジン(His)キナーゼ領域も保存されている。
2.
Dl-ERS1-3 mRNAは花のすべての部位(雌ずい、花托、がく)で高い発現量を示す(図2)。一方、Dl-ERS2 mRNAは雌ずいと花托において高い発現量を示すが、がくでの発現量は低い(図2)。花の各部位において、老化にともなうDl-ERS1-3 mRNAとDl-ERS2 mRNAの発現量の変化は小さい(図2)。このことは、これらの遺伝子が花において恒常的に発現していることを示している。
成果の活用面・留意点 1.
Dl-ERS1-3 とDl-ERS2 遺伝子は、花の老化におけるエチレン感受性の分子生物学的な解明に有用である。
2.
Dl-ERS1-3 とDl-ERS2 遺伝子を改変することにより、花持ちを向上させることが可能と考えられる。
図表1 212819-1.gif
図表2 212819-2.gif
カテゴリ 出荷調整 デルフィニウム

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