ホルクロルフェニュロンによるトレニアの花形の規則的な変化

タイトル ホルクロルフェニュロンによるトレニアの花形の規則的な変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2003~2006
研究担当者 山口博康
仁木智哉
西島隆明
島浩二(和歌山農試)
発行年度 2006
要約 トレニアの花芽にホルクロルフェニュロン(CPPU)を投与することにより、5種類の新規な花形が誘導される。発生する花形は、CPPU投与時の花芽発達ステージに依存して規則的に決定される。
キーワード 花形、ホルクロルフェニュロン、トレニア
背景・ねらい  花形は、花きの観賞性に関与する重要な要素であり、装飾的な花形は消費者に好まれる。近年、花形の決定にホメオティック遺伝子が関与することが明らかにされてきた。しかし、園芸植物の花形には、器官数の増加や副花冠の形成、花弁の形の多様性など、ホメオティック遺伝子からは説明できない形質も多い。本研究では、ホルクロルフェニュロン(CPPU)をトレニアの花芽に与えることにより、ホメオティック遺伝子からは説明できない5種類の装飾的な花形が誘導される現象を発見し、これらの個々の花形が一定の法則に従って誘導されていることを明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. CPPUをトレニアの花芽に与えることにより、5種類の新たな花形が誘導される(図1、花形1~5)。
  2. 5種類の花形における形態変化は以下の通りである。花形1:花弁周縁に鋸歯が形成される。花形2:花弁周縁の鋸歯とともに花弁向軸面に副花冠が形成される。花形3:花弁向軸面の副花冠が発達し、花弁に欠刻が発生する。花形4:花弁・雄ずいの数が増える。花形5:花弁・雄ずいに加え、がく片の数が増える。
  3. 5種類の花形は、①花弁周辺の鋸歯、②副花冠の発生、③花弁周縁の欠刻、④花弁等の器官数の増加、の4つの基本的な変化の組み合わせで生じる。
  4. これらの基本的な変化は、CPPU投与時の花芽の発達ステージに依存して規則的に決定される。つまり、CPPUを花弁形成が進んでから与えると花弁周縁の鋸歯が発生し、花弁および雄ずいの原基の形成期に与えると副花冠および花弁の欠刻が発生する。花弁・雄ずい・がく片の各々の原基の形成前に与えるとこれらの数が増える(図2)。
  5. 本花形変化は、内生サイトカイニンの代謝阻害作用を持つホルクロルフェニュロンで誘導され、この作用を持たないベンジルアデニン(BA)、ゼアチンでは誘導されない。
成果の活用面・留意点
  1. 花弁周縁の鋸歯、副花冠の発生、花弁数の増加等、装飾的な花形の形成機構解明のための基礎的知見となる。
  2. 品種‘ドワーフ・ホワイト’の場合、CPPU 3 μmol/Lの20%アセトン水溶液を、花房の先端部に1花房あたり8 μL、1回だけ与えるのが適切である。他の品種でも同様の形態変化が起こるが、処理濃度は適宜加減する。
図表1 212829-1.gif
図表2 212829-2.gif
カテゴリ トレニア 品種

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