キクわい化ウイロイドの感染性cDNAクローンの作製

タイトル キクわい化ウイロイドの感染性cDNAクローンの作製
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2007~2008
研究担当者 P.K.R.Kumar(産総研)
松下陽介
発行年度 2008
要約  キクわい化ウイロイドの感染性cDNAクローンを合成した。これを鋳型にして合成したCSVd RNAは、天然のCSVdと同様に宿主植物への感染力をもち、接種試験に利用できる。
キーワード キクわい化ウイロイド、感染性cDNAクローン、RNA
背景・ねらい
 キクわい化病の病原体であるキクわい化ウイロイド(Chrysanthemum stunt viroid; CSVd)はキクの難防除病原体の1つである。これまでにCSVdの感染性cDNAクローンが作製されていないことから、人為的に変異体を作製できず、塩基配列の解析を行うことができなかったために、分子生物学的な研究はほとんどなされていない。そこで、CSVdの感染性cDNAクローンの作製を試み、その評価を接種試験で行なう。
成果の内容・特徴
  1. T7 RNAポリメラーゼでRNAを合成できるように(表1)のプライマーを設計した。このプライマーを用いてT7プロモーターの配列を5’側に付加したCSVdの全長cDNAを作製した。
  2. それを鋳型にして合成した直鎖状のCSVd RNAをイソギクに機械的接種すると、感染植物から抽出・精製した天然のCSVdと同様に、CSVdの感染が確認できる(表2)。
  3. 一方、鋳型として用いたcDNAやその配列をもつプラスミドには感染性は認められない。
  4. 合成CSVd RNAを宿主植物に接種すると、イソギク、トマト、アゲラタムからは4週間後に、シュンギクからは8週間後にCSVdが検出される(表3)。
  5. 合成CSVd RNAの接種によってCSVdが感染したイソギクまたはトマトから、CSVd RNAを抽出し、そのRNAを健全なトマトに接種するとCSVdの感染が確認できる。
  6. 以上のことから、本方法によって合成されたCSVd RNAはCSVd宿主植物に感染し、複製能を持ち、接種試験に利用できることを初めて示した。
成果の活用面・留意点
  1. CSVdの感染性cDNAクローンの確立によって、任意のCSVdの変異体の作製が可能となり、CSVdの植物体内における移行や複製の解明に利用できる。
  2. CSVdの感染性cDNAクローンを用いることで、安定的にCSVdの接種試験を実施できる。
図表1 212845-1.gif
図表2 212845-2.gif
図表3 212845-3.gif
カテゴリ 病害虫 アゲラタム きく しゅんぎく トマト 防除

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