タイトル |
STSとスクロース処理によるキンギョソウ切り花の品質保持期間延長 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2004~2007 |
研究担当者 |
加藤美紀(千葉暖地園芸研究所)
市村一雄
湯本弘子
能岡智
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発行年度 |
2008 |
要約 |
出荷前のSTSとスクロース処理により、キンギョソウ切り花の品質保持期間は有意に延長する。品質保持効果は輸送中にスクロースを処理することにより高まる。切り花を実送した場合にも、スクロースを含む薬剤処理は品質保持に有効である。
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キーワード |
STS、キンギョソウ、抗菌剤、スクロース、バケット輸送
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背景・ねらい |
キンギョソウ切り花はエチレンに対する感受性が高く、常温での花持ちは1週間程度である。通常は出荷前のチオ硫酸銀錯塩(STS)処理が行なわれているが、その品質保持効果は高くない。糖質はつぼみの開花とつぼみの着色を促進する。また、バケット輸送では、輸送中に品質保持剤を処理することが可能である。そこで、STSとスクロースの出荷前およびスクロースのバケット輸送中の処理によるキンギョソウ切り花の品質保持技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- スクロース単独およびSTSとスクロースを組み合わせた24時間処理は、小花の開花を促進する(図1)。品質保持期間延長効果はSTSとスクロースを組み合わせた処理のほうがスクロース単独処理よりもやや高い。スクロース単独およびSTSとスクロースを組み合わせた処理は、STS単独処理よりも花弁の色素であるオーロン濃度を高める(表1)。
- 花弁のグルコース、フルクトースおよびスクロース濃度は、スクロース単独処理およびSTSとスクロースを組み合わせた処理のほうがSTS単独処理よりも高い(図2)。
- キンギョソウ切り花の品質保持期間は、STSとスクロースの出荷前処理とスクロースの輸送シミュレーション中の処理を組み合わせることにより、輸送シミュレーション中にスクロース処理を行なわない場合よりも1~2日延長する。
- 薬剤処理の効果を実証するため、2007年12月に実際の流通ルートで千葉県から東京の市場にキンギョソウを輸送した。抗菌剤→抗菌剤、STS→抗菌剤、スクロース→スクロース、STS+スクロース→スクロース処理区(いずれも前処理→輸送処理を示す)における品質保持期間はそれぞれ、3.8、5.8、6.8および7.7日となり、スクロースを含む薬剤による品質保持効果は実証された(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 品種には「エローバタフライ」を用い、出荷前および輸送シミュレーション処理はいずれも15℃、相対湿度70%、暗黒条件で24時間とし、切り花を保持する環境条件は23℃、相対湿度70%、PPFD 10 μmol m-2 s-1とした。
- STS濃度はすべて0.2 mMとし、スクロースを処理する場合には抗菌剤(有効成分として5.7 mg L-1 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2 mg L-1 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび100 mg L-1 硫酸アルミニウムを含む抗菌剤)を加えた。
- 千葉県から輸送したときの輸送時の切り花周辺の気温は10℃前後で推移した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
出荷調整
品質保持
品種
薬剤
輸送
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