黒斑病耐病性・自家和合性のニホンナシ新品種「おさゴールド」

タイトル 黒斑病耐病性・自家和合性のニホンナシ新品種「おさゴールド」
担当機関 鳥取県園芸試験場
研究期間 1994~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ニホンナシ新品種「おさゴールド」は、自家和合性の「おさ二十世紀」からガンマ線緩照射で誘発・選抜された黒斑病耐病性突然変異品種である。黒斑病耐病性以外の樹性・果実特性は「おさ二十世紀」とほぼ同じであり、自家和合性は「おさ二十世紀」と同様に高い。
背景・ねらい
 「おさ二十世紀」は自家和合性で人工受粉が省略できるが、黒斑病に罹病性である。「ゴールド二十世紀」は「二十世紀」のガンマ線による突然変異体利用により育成された黒斑病耐病性品種で、殺菌剤の散布回数が大幅に削減できる品種である。そこで、ガンマ線照射によって黒斑病耐病性突然変異体の誘発・選抜を図り、人工受粉が不要な「おさ二十世紀」に黒斑病に対する抵抗性を付与した新品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1.  昭和61年に放射線育種場ガンマーフィールドの60Co線源から40、50、60、70mの距離に苗木を定植し、ガンマ線の緩照射を開始した。昭和62年から、ナシ黒斑病菌の生産する宿主特異的毒素(AKトキシン)とリーフディスクを用いた簡易検定法によって、「おさ二十世紀」からのナシ黒斑病耐病性突然変異体の選抜を試みた。平成3年に黒斑病耐病性突然変異体IRB502-13Tを選抜し、放射線育種場及び鳥取県園芸試験場の圃場で黒斑病耐病性検定、樹の生育、果実などの特性を検討した結果、耐病性以外は原品種「おさ二十世紀」とほぼ同じであることが明らかとなり、種苗法に基づく品種登録申請を行った。なお、本品種は昭和62年度から開始された農業生物資源研究所と鳥取県との共同研究によって育成されたものである。
  2.  黒斑病耐病性程度について、精製した黒斑病毒素AKトキシンを用いて検定したところ、原品種「おさ二十世紀」より明らかに強い耐病性を示した。その耐病性程度は「ゴールド二十世紀」よりもやや強い耐病性を示したが、「幸水」のような完全抵抗性ではなかった(表1)。
  3.  樹性・果実特性等については、原品種「おさ二十世紀」との差異は認められず、外観から両者を判別することは困難である。すなわち、開花期はほぼ同じで健全な花器を形成する(表2)。果実の大きさ、形状、品質、熟期もほぼ同じである(表3)。自家和合性については「おさ二十世紀」と同様に高く、自家受粉によって多数の種子を形成する(表4)。
成果の活用面・留意点
  1.  黒斑病耐病性は完全ではないが、「ゴールド二十世紀」程度の耐病性であり、抵抗性品種「幸水」、「豊水」の防除暦で十分対応できる。
  2.  黒斑病耐病性以外の栽培特性は「おさ二十世紀」とほぼ同じである。栽培適地は「おさ二十世紀」と同じく、我が国のナシ栽培地帯の全域である。
  3.  種苗法に基づく品種登録を鳥取県と共同で申請中である。

図表1 212895-1.gif
図表2 212895-2.gif
図表3 212895-3.gif
図表4 212895-4.gif
カテゴリ 病害虫 育種 簡易検定法 栽培技術 受粉 新品種 耐病性品種 抵抗性 抵抗性品種 品種 防除

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