大玉・良食味のオウトウ新品種候補「オウトウ山形C5号」

タイトル 大玉・良食味のオウトウ新品種候補「オウトウ山形C5号」
担当機関 山形県立園芸試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 オウトウ新品種候補「オウトウ山形C5号」は大玉・着色良好・高糖度の良食味品種である。極晩生で果肉は硬く、日持ち性良好であり、オウトウ栽培地全域に適する。
背景・ねらい
 基幹品種である「佐藤錦」は、現在作付けが半数以上を占め、労力集中や受粉樹不足からくる結実の不安定性等の問題が顕在化してきた。 また、外国産オウトウとの競争に対応するため、早生から晩生までの品質・栽培性に優れた生食用オウトウの新品種の開発が求められている。
成果の内容・特徴
  1.  育成経過:山形園試で1980年に交雑した実生の中から選抜された。両親は不明である。個体番号はC-34-7(449)である。1991年より「オウトウ山形C5号」の系統名でオウトウ第1回系統適応性・特性検定試験に供試し、検討を行ってきた。平成8年度同現地検討会において優秀性が確認された。
  2.  樹の特性:樹姿は中程度、枝梢の発生及び太さは中、花芽の着生は多く、結実は中~やや多である。開花期は育成地(山形県寒河江市)において「ナポレオン」とほぼ同時期で「佐藤錦」より1~2日早く開花する。受粉については「佐藤錦」「ナポレオン」「南陽」「紅秀峰」などと交雑和合性であるが、「高砂」「紅さやか」とは不和合性である(表1、2、3)。
  3.  果実特性:果形は短心臓~扁円形で、果実の大きさは10g程度と大玉である。果肉は硬く、樹上での日持ちも良く軟化しにくいため、輸送性も良好と考えられる。果皮の着色は良好で全面に濃赤色に着色する。果肉は乳白色であるが、熟度が進むと核周囲に若干赤色素が入り、果肉全体がクリーム色となる。糖度は16~20%、酸度は0.7%前後で「佐藤錦」よりも甘味強く、酸味も程良いので食味濃厚である。成熟までの日数は満開後65~70日で育成地において7月上旬~中旬に収穫できる極晩生品種である(表1、2)。
成果の活用面・留意点
  1.  極晩生種として、労力調整や消費拡大が期待できる。
  2.  果肉の熟度より着色が先行するため、着色による早穫りには注意する。早穫りでは苦味が感じられるので、満開後日数65~70日での収穫を徹底する。
  3.  収穫時期が遅いのでショウジョウバエやアルタナリア菌、灰星病菌の防除を徹底する必要がある。
  4.  裂果の発生程度は「佐藤錦」並みで、特に多くはないが、果実肥大が良好で、収穫時期も遅いので、雨よけテントでの栽培が望ましい。
図表1 212899-1.gif
図表2 212899-2.gif
図表3 212899-3.gif
カテゴリ 病害虫 おうとう くり 受粉 消費拡大 新品種 品種 防除 輸送 良食味

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