蛍光染色によるカンキツ類の染色体の識別・同定

タイトル 蛍光染色によるカンキツ類の染色体の識別・同定
担当機関 果樹試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 稲垣(遠藤)朋子
森口卓哉
大村三男
発行年度 1997
要約 Chromomycin A3(CMA)と4'-6-diamidino-2-phenylindole (DAPI)を用いた蛍光分染により、カンキツ属、カラタチ属、キンカン属において、相互に識別可能となるマ-カ-バンドが得られた。これにより、染色体地図の作成、染色体の機能解析および顕微解剖操作による遺伝子クロ-ニングに資することが可能となる。
背景・ねらい
 遺伝情報をDNAレベルで解析する新技術の開発により、種々の生物のゲノム解析や遺伝子マッピングが可能となりつつある。カンキツにおいても遺伝情報を担っている染色体研究の進展が要望されているが、染色体の識別・同定法が十分とは言い難い。そこで、CMAとDAPIによる蛍光分染により、カンキツ属、カラタチ属、キンカン属の相互識別と核型分析を可能とするマ-カ-バンドを探し出し、体細胞雑種の判定に利用する。また、カンキツ類ゲノム構造の特徴を把握し、物理地図作成の資料とする。
  1. 染色体上のATに富む領域を染色するDAPIではバンドは検出されないが、CMA染色でGC配列に富む蛍光バンドが観察できた。18本の体細胞染色体は、このCMA(+)バンドを染色体の長腕末端にもつもの、両端にもつもの、長腕端と動原体領域にもつもの、両端と動原体領域にもつもの及びバンドをもたないものに区分できた(図1)。
  2. キンカン属では全ての染色体にCMA(+)バンドをもつのに対し、カンキツ属とカラタチ属はCMAで強く蛍光分染されない6~7本の染色体を有していた(図1)。また、CMAに強く染まる領域の長さを測定した結果、キンカン属で高い値を示した。
  3. カンキツ属とカラタチ属は相互によく似ているがカンキツ属では種による差異はあるものの、両端にバンドをもつものが明瞭に観察され、カラタチ属と区別できた(図1)。
  4. これらの蛍光バンドパタ-ンの違いは、体細胞雑種の核型の確認に有効であった。
成果の内容・特徴
  1. 染色体上のATに富む領域を染色するDAPIではバンドは検出されないが、CMA染色でGC配列に富む蛍光バンドが観察できた。18本の体細胞染色体は、このCMA(+)バンドを染色体の長腕末端にもつもの、両端にもつもの、長腕端と動原体領域にもつもの、両端と動原体領域にもつもの及びバンドをもたないものに区分できた(図1)。
  2. キンカン属では全ての染色体にCMA(+)バンドをもつのに対し、カンキツ属とカラタチ属はCMAで強く蛍光分染されない6~7本の染色体を有していた(図1)。また、CMAに強く染まる領域の長さを測定した結果、キンカン属で高い値を示した。
  3. カンキツ属とカラタチ属は相互によく似ているがカンキツ属では種による差異はあるものの、両端にバンドをもつものが明瞭に観察され、カラタチ属と区別できた(図1)。
  4. これらの蛍光バンドパタ-ンの違いは、体細胞雑種の核型の確認に有効であった。
成果の活用面・留意点 [成果の内容・留意点]
本研究により、カンキツ近縁種間での核型の相違がCMA(+)バンドパタ-ンとして識別できるようになった。個々の染色体の標識バンドが得られ、属間雑種の認定染色体の顕微解剖などへの道を開いたが、CMAとDAPIによる蛍光分染だけでは識別・同定の困難な染色体も残された。今後は、各染色体に特徴的な構造を見出し、識別精度を高めていく必要がある。
図表1 212931-1.gif
カテゴリ きんかん その他のかんきつ

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