ウンシュウミカンからのβ−クリプトキサンチンを生成する酵素遺伝子の単離

タイトル ウンシュウミカンからのβ−クリプトキサンチンを生成する酵素遺伝子の単離
担当機関 果樹試験場
研究期間 1997~2000
研究担当者 小松 晃(生研機構)
小川一紀
生駒吉識
矢野昌充
発行年度 1997
要約 β-カロテン以上の健康増進効果が期待されるβ-クリプトキサンチンの合成酵素(β-カロテンヒドロキシラ-ゼ)遺伝子を世界で初めて単離した。この遺伝子を用いて農作物のカロテノイド組成を改変できる可能性がある。
背景・ねらい
 食物由来の健康増進物質としてカロテノイドは重要である。従来から注目されていたβ-カロテン以上に重要な機能性(例えば発がん抑制など)を持つカロテンがあることが明らかになりつつある。ウンシュウミカンなど一部のカンキツに多く含まれるβ-クリプトキサンチンもその一種である。これまで単離されていなかったこのカロテノイドの生合成に関わる酵素(β-カロテンヒドロキシラーゼ)遺伝子を単離し、形質転換による作物のカロテノイド組成の改変へ道を開こうとした。
  1.  成熟果実の果肉由来cDNAライブラリーより、β-クリプトキサンチンを生成するβ-カロテンヒドロキシラーゼと推定されるcDNA(図1:コードするアミノ酸配列)を単離した。
  2.  大腸菌内で本遺伝子と前駆体の生成に関与するカロテノイド生合成系遺伝子と共存させたところβ-クリプトキサンチンと少量のゼアキサンチンを産生した(図2、3)。このことから目的の遺伝子と判断した。この遺伝子のクローニングは初めての例である。
  3.  本遺伝子及びフィトエン合成酵素遺伝子のノ-ザンブロットによる発現解析を行った。β-クリプトキサンチンを生成するβ-カロテンヒドロキシラーゼは、β-クリプトキサンチンを生成しない部位や時期にも発現していることから(データ略)、β-クリプトキサンチンが大量に蓄積するには本遺伝子に加え、カロテノイド合成系のキー酵素であるフィトエン合成酵素遺伝子が同時に大量に転写される必要があると考えられた。
成果の内容・特徴
  1.  成熟果実の果肉由来cDNAライブラリーより、β-クリプトキサンチンを生成するβ-カロテンヒドロキシラーゼと推定されるcDNA(図1:コードするアミノ酸配列)を単離した。
  2.  大腸菌内で本遺伝子と前駆体の生成に関与するカロテノイド生合成系遺伝子と共存させたところβ-クリプトキサンチンと少量のゼアキサンチンを産生した(図2、3)。このことから目的の遺伝子と判断した。この遺伝子のクローニングは初めての例である。
  3.  本遺伝子及びフィトエン合成酵素遺伝子のノ-ザンブロットによる発現解析を行った。β-クリプトキサンチンを生成するβ-カロテンヒドロキシラーゼは、β-クリプトキサンチンを生成しない部位や時期にも発現していることから(データ略)、β-クリプトキサンチンが大量に蓄積するには本遺伝子に加え、カロテノイド合成系のキー酵素であるフィトエン合成酵素遺伝子が同時に大量に転写される必要があると考えられた。
成果の活用面・留意点 [成果の内容・留意点]
 本遺伝子を単独、あるいは他のカロテノイド生合成系遺伝子と共存させることによってカロテノイド組成を改変させられる可能性があり、各種カンキツ類を対象に検討を開始している。
「その他」
研究課題名:発がん抑制成分生合成系遺伝子の制御
予算区分 :生研機構基礎研究推進制度(一部、連携開発研究としても実施)
研究期間 :平成9年度(平成8~12年度)
研究担当者:矢野昌充、生駒吉識、小川一紀、小松 晃(生研機構)
発表論文等:ポスター発表 カンキツからのβ-carotene hydroxylase遺伝子ホモログの単離と機能解析
日本分子生物学会 平成9年12月17日
特許出願  β-carotene hydroxylase遺伝子 特願平9-331936
図表1 212932-1.gif
図表2 212932-2.gif
図表3 212932-3.gif
カテゴリ 温州みかん 機能性 その他のかんきつ

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