タイトル |
果実収穫作業を軽労化する収穫箱ハンドリング作業車 |
担当機関 |
生物系特定産業技術研究推進機構 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
久保田太郎
宮浦友宏
高本仁司
小川幹雄
大森弘美
藤井幸人
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発行年度 |
1998 |
要約 |
果実収穫作業の軽労化を目的とし、収穫箱を収集して園外に搬出するための自走式作業車である。荷台、パレット昇降装置及び収穫箱積込み装置を装備し、収穫箱のパレットへの積込み、荷台への移動、積替え及び荷下しを軽作業化することができる。
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背景・ねらい |
果樹の収穫作業では、通常 20 kg程度の果実を収容できるプラスチック製収穫箱が用いられる。果実入り収穫箱は各種のほ場内運搬車を利用して園外に収集搬出し、トラック等に積替えて運搬されるが、重量物の積み下ろしを繰り返す作業体系の改善が要望されている。このため、一連の作業を軽労働で合理的に行うことができるハンドリング作業車を開発した。
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成果の内容・特徴 |
- 4輪の油圧駆動式作業車であり、収穫箱を積載する荷台、車体後部に設けたパレット昇降装置、収穫箱積込み装置及び乗車運転席からなる(図1)。荷台床面には油圧駆動のローラコンベヤを設置し、収穫箱を積載したパレットを前後方向に移動することができる。パレット昇降装置はフォークリフトと同様の機能を有するが、フォーク上にはローラを配置し、先端部にパレット落下防止用のストッパを設けている。収穫箱積込み装置は空気圧式バランサと把持装置からなり、軽微な力で収穫箱を吊り上げて移動することができる(表1)。
- 操作は機体前部の乗車運転席のほか、昇降装置近くの後部運転装置を用いて行うことができる。油圧による4輪操舵式であり、作業に適した操舵法を選択することが可能である。
- 園内で収穫箱を収集し、トラックの位置まで搬送して積替える作業を動力運搬車利用の慣行作業と比較すると作業能率が3~ 27 %向上するが、把持装置を利用して収穫箱の積込みを行った場合は、作業能率が慣行より8~ 41 %低くなる。心拍数増加率はいずれの場合も慣行作業を大幅に下回り、労働強度の軽減が図られる(表2)。
- 開発機の特徴は以下のとおりである。
1) パレットを低い位置に設置できるので、果実入りの収穫箱を、軽作業で能率良くパレット上に積み込むことができる。収穫箱積込み 装置を利用した場合は、人力積込みよりも能率は低下するが、より軽微な力で作業を行うことができる(図2)。 2) 積込み後はパレット単位でハンドリングできるので、合理的な作業体系が構築できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 果実収穫作業の軽労化、省力化技術として活用できる。
- 樹列間に、1,000 L級のスピードスプレーヤが走行できる程度の空間が必要である。
- 実用化に当たっては、構造の簡略化と製造コストの低減に配慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
軽労化
コスト
省力化
ばら
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