タイトル |
甘味が強く日持ち性が優れる早生の赤ナシ新品種「あきあかり」 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1984~1999 |
研究担当者 |
齋藤寿広
寺井理治
西端豊英
正田守幸
樫村芳記
小園照雄
福田博之
木原武士
鈴木勝征
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ニホンナシ新品種「あきあかり」は、「162-29」に「ナシ平塚17号」を交雑して育成した早生の赤ナシ品種である。果実肥大良好で高糖度であり、良食味である。果実の日持ち性良好である。
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背景・ねらい |
現在、「幸水」と「豊水」で全国のナシ栽培面積の60%以上を占めている。しかし、両品種の収穫期には約2週間の空白があるため、この空白を補完する品質優良な赤ナシ品種を育成しようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 1984年(昭和59年)に肉質優良なやや晩生の育成系統である「162-29」(新高×豊水)に品質優良な早生の「ナシ平塚17号」(雲井×幸水)を交雑して育成した品種である。個体番号は「294-151」で、1986年(昭和61年)に定植し、1991年(平成3年)に一次選抜した。1992年(平成4年)から「ナシ筑波45号」としてナシ第6回系統適応性検定試験に供試した。その結果、平成11年度同試験成績検討会議において新品種候補に決定し、2000年(平成12年)10月25日付けで「あきあかり」と命名され、「なし農林 20号」として登録・公表された。
- 樹勢は中で枝梢の発生はやや少ない。腋花芽の着生はやや少なく、短果枝の着生は中である。開花期は「豊水」とほぼ同時期である。収穫中央日の平均は概ね8月下旬で、「幸水」より1週間程度遅い。若木の収量は「幸水」と比較するとやや劣っている(表1)。黒斑病には抵抗性で、黒星病その他の病害虫に対しては慣行防除で対応できる。
- 果形は円形で、完熟果の果皮色は黄赤褐色である。条溝が明瞭に認められ、有てい果が多数混在する。果梗が太くて短い。果実重は約400gで「幸水」より重い。果肉硬度はおよそ4.3lbs.で「幸水」と同程度であり、肉質はち密で果汁も多く、食味は良好である。果汁糖度の平均値は13.2%で「幸水」より約1%高い。果汁pHは5.3前後で「幸水」と同様に食味上ほとんど酸味が感じられない。心腐れ及びみつ症がまれに発生することがある。果実の日持ち性は25℃で10日程度で「幸水」より長い(表1、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 全国のナシ栽培地帯で栽培可能であり、「幸水」と「豊水」の間を補完する品種として利用できる。
- 軸折れ等による落果を生じることがあるので摘果にあたっては果実の選別を慎重に行う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
黒星病
栽培技術
新品種
抵抗性
品種
防除
良食味
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