タイトル |
TDR土壌水分計による果樹園の土壌水分分布の簡易迅速測定法 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1997~2003 |
研究担当者 |
平岡潔志
梅宮善章
中村ゆり
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
数時間で100地点以上の土壌水分測定が可能なTDR土壌水分計は、測定土壌水分の検量線を個々のプローブごとに作成することにより測定精度が向上し、果樹園における土壌水分環境の迅速測定を可能にする。
|
背景・ねらい |
果樹園地では、植栽方法や地形、樹体管理、地表面管理、管理機の走行によって、土壌物理性や地表面での蒸発散が異なることから、土壌水分が不均一に分布すると考えられる。そこで、水分変動の激しい園地条件下でも短時間に測定が可能なTDR土壌水分計を用いて、果樹園地の簡易迅速土壌水分測定法について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- TDR土壌水分計(Campbell社製CS615)はプローブと計測部からなり可搬性が高い。プローブは長さ30cm直径3.2mmのステンレス製センサーロッド2本からなり、土壌に挿入することにより、内蔵の検量線を用いて周辺土壌の含水率が測定される。太陽電池の使用により、定位置で長期間無人測定が可能で、測定データは計測部メモリーに保存される。
- プローブを土壌に鉛直挿入することにより、深さ30cmまでの土壌水分(含水率)が直ちに測定される。プローブの挿入を繰り返すことにより、短時間に多地点の測定ができるので、果樹園地の土壌水分の不均一性や経時変化の測定が可能になる。
- 測定値は、含水率に対応する周波数の変化をパルス長(ms)に変換した値で得られるが、プローブによってこの値が異なり、含水率で1%以上の差を生じることもあるので(表1)、プローブごとに検量線を作成する必要がある。検量線は調査土壌を用いて作成するのが望ましく、有機物を連用した淡色黒ボク土壌では、実測値(乾土法)とTDR測定値の差は、含水率で0.5%未満であった(表2)。なお、プローブを曲げたり、土壌との間に空隙ができると誤差の原因となるので、プローブと土壌をよく密着させる。また、プローブの挿入が難しい土壌や、接触誤差が大きい礫質土壌での使用は困難である。
- 淡色黒ボク土ブドウ園の測定事例(10月23日)を示すと、主幹の周辺土壌6×8mの範囲内を50cm間隔、2本のプローブで測定したところ、221地点を約2時間で測定できた。降雨18日後の含水率は、37~46%の範囲にあり、幹を中心としたいくつかの方向に乾燥した場所が見られ、含水率の差は最大9%にもなることが明らかとなった(図1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 肥料や有機物等の局所施用によって、著しく土壌EC値の水平分布に変動がある園地では、TDR測定値が影響を受けるため、ECを測定し補正する必要がある。
- プローブを土壌に埋設したり挿入することにより、特定の深さや土層の土壌水分変化の連続測定も可能で、測定間隔は任意に設定できる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
肥料
乾燥
ぶどう
|