リンゴ果実に腐敗を引き起こす疫病菌の遺伝子診断法

タイトル リンゴ果実に腐敗を引き起こす疫病菌の遺伝子診断法
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 須崎浩一
吉田幸二
発行年度 1999
要約 各種疫病菌のrDNA-ITS領域の塩基配列をもとに種特異的なPCRプライマーを設計し、これを用いたPCRによるリンゴ果実腐敗を引き起こす疫病菌の簡易識別法を開発した。
背景・ねらい 日本国内において疫病菌は20数種が知られ、リンゴ果実に被害を与える疫病菌としてPhytophthora cactorum, P. cambivora, P. syringaeの3種の報告がある(図1)。特にP. syringaeは収穫後の果実を加害するため被害が大きく、本菌の迅速・簡易な診断法が必要とされている。疫病菌の識別は通常、培養性状、有性・無性世代の形態に基づき行われるが、繁殖器官の形成には時間がかかるため被害果実の迅速な診断には不向きである。また、リンゴに被害を与える疫病菌に対しては登録農薬がないため、疫病による被害を軽減するためにはほ場における分布・動態をモニタリングする必要がある。以上のような必要性から遺伝子工学的手法を用い疫病菌の簡易な識別法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. リンゴ果実に被害を与える3種の疫病菌、P. cactorum, P. cambivora, P. syringaeのrDNA-ITS領域の塩基配列を決定した。
  2. 決定された3種疫病菌のrDNA-ITS領域の塩基配列と既報の他種疫病菌の同領域塩基配列を比較し、P. cactorum, P. cambivora, P. syringaeの種に特異的なPCRプライマーを設計した(表1)。
  3. 設計されたPCRプライマーを用いることでP. cactorum, P. cambivora, P. syringae各々の識別及び他種疫病菌との識別が可能であった(図2)。本プライマーを用いることでリンゴ疫病の病原菌を1日以内で診断できる。
成果の活用面・留意点
  1. 非特異的なバンドの増幅をさけるため、PCRはホットスタート法で行うことが望ましい。
  2. 本試験は純粋に分離された各種疫病菌を用いて行ったが、果実等を用いて土壌より疫病菌を捕捉した場合においても適用可能である。
図表1 212989-1.gif
図表2 212989-2.gif
図表3 212989-3.gif
カテゴリ 病害虫 農薬 繁殖性改善 モニタリング りんご

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