がん予防成分を多量に含むカンキツ品種

タイトル がん予防成分を多量に含むカンキツ品種
担当機関 果樹試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 吉田俊雄
根角博久
小川一紀
杉浦 実
川井 悟
中野睦子
矢野昌充
発行年度 2000
要約 カンキツ類からがん予防成分を多く含む次の品種を選び出した。β-クリプトキサンチンはウンシュウミカン、オーラプテンはイーチャンレモン、ノビレチンはキング、リモノイドはユーレカレモンが高含有品種、がん細胞増殖抑制活性と HL-60細胞分化誘導活性についてはキングが高活性品種であった。
背景・ねらい カンキツ類は、従来の疫学的研究によってがん予防に役立つ食品の一つにリストアップされている。しかし、どの成分が実際に役立っているかについては十分に解明されていない。生研機構基礎研究推進事業「カンキツによるがん予防に関する基礎的研究」で、各種の動物実験に基づき、がん予防に役立つ可能性のある成分としてβ-クリプトキサンチン、オーラプテン、ノビレチンを新たに見出して報告した。ここでは、これら3成分に加え、リモノイド、がん細胞の増殖を抑制する活性及び白血病細胞(HL-60)の分化を誘導する活性のそれぞれについて、高含有・高活性のカンキツ品種を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. β-クリプトキサンチン:ミカン区の品種に多く、ウンシュウミカン、ポンカンが高含有である。オレンジ類、イヨカン、アマナツにはほとんど含まれていない(表1)。
  2. オーラプテン:イーチャンレモン、ヘンカミカンが高含有品種である(表1)。
  3. ノビレチン:キングが最も高含有である(表1)。
  4. 総リモノイド:多くのカンキツが配糖体の形でかなりの量を含んでいる。その中でユーレカレモン、キングが高含有品種である(表1)。
  5. がん細胞(ヒト肺がん)増殖抑制活性:キングで最も活性が高く、その活性にはポリメトキシフラボンが関与している(表2)。
  6. 白血病細胞(HL-60)の分化を誘導する活性:キングで最も高く、その活性にはポリメトキシフラボンが関与している(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 消費者へのβ-クリプトキサンチンとリモノイド類の供給は既存経済品種で十分であるが、これ以外の成分は既存経済品種の可食部にほとんど含まれず、新規高含有品種、果皮を活用した高含有加工品の開発が必要である。
  2. ウンシュウミカン、アンコールを育種親とすることで、β-クリプトキサンチン高含有雑種が得られる。オーラプテンについてはカラタチを育種親とすることで、ノビレチンについてはキングを育種親とすることで、いずれも果肉部に高含有のカンキツを作出できる。
図表1 213006-1.jpg
図表2 213006-2.jpg
カテゴリ あま 育種 伊予柑 温州みかん 加工 品種 ぽんかん レモン その他のかんきつ

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