ビワがんしゅ病( A 系統菌)に対する抵抗性の遺伝

タイトル ビワがんしゅ病( A 系統菌)に対する抵抗性の遺伝
担当機関 長崎県果樹試験場
研究期間 1973~2000
研究担当者 寺井理治
稗圃直史
福田伸二
発行年度 2000
要約 ビワのがんしゅ病( A系統菌)抵抗性には一対の主働遺伝子が関与し、抵抗性が優性、罹病性が劣性である。また、抵抗性個体には優性ホモの個体とヘテロの個体が存在する。
背景・ねらい がんしゅ病はビワにおける最大の病害で、現在の主要品種はいずれも本病に対して罹病性であるため、がんしゅ病抵抗性は重要な育種目標の一つである。そこで、がんしゅ病抵抗性品種を効率的に育成するために、がんしゅ病( A 系統菌)に対する抵抗性の遺伝様式を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 抵抗性(以下 R )× R交雑実生では、Rみが出現する組み合わせと R 及び罹病性(以下 S )の両方が出現する組み合わせの 2パターンがあった。前者の組み合わせは少なくとも片親が「シャンパン」あるいは「福聚院」の組み合わせであった(表1)。
  2. R × S あるいは S × R では、Rみが出現する組み合わせと R 及び S両方が出現する組み合わせがあり、前者の組み合わせはいずれも片親が「シャンパン」あるいは「福聚院」の組み合わせであった(表1)。
  3. S × S では、「本田早生」セルフの組み合わせを除くすべての組み合わせで R が出現せず、いずれも Sみであった(表1)。
  4. 抵抗性に関与する一対の主働遺伝子を想定し、「シャンパン」及び「福聚院」の遺伝子型を優性ホモ、それ以外の抵抗性品種はヘテロ、また、罹病性品種は劣性ホモと仮定し(表2)、3:1あるいは1:1に分離すると期待される 12 組み合わせについてχ 2検定を行ったところ、いずれも仮定は棄却されなかった(表1)。また、1:0あるいは0:1に分離すると期待される 19 組み合わせでは、「本田早生」セルフの1組み合わせを除いて仮定と一致した(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 交配親の遺伝子型から抵抗性個体の出現率が予測できるので、がんしゅ病抵抗性育種を効率的に進めることができる。
  2. がんしゅ病には A 、B 及び C 系統菌が存在するので、いずれの系統菌についても抵抗性でなければ完全な抵抗性品種ではない。
  3. 「本田早生」の遺伝子型についてはさらに検討の必要がある。
図表1 213013-1.jpg
図表2 213013-2.jpg
カテゴリ 育種 抵抗性 抵抗性品種 びわ 品種

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