日本および中国の渋ガキ品種における脱渋の難易性

タイトル 日本および中国の渋ガキ品種における脱渋の難易性
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~2001
研究担当者 山田昌彦
平 智
大槻真子
佐藤明彦
岩波 宏
薬師寺博
王仁梓
楊勇
李高潮
発行年度 2001
要約 日本および中国原産の渋ガキ品種の中には、炭酸ガス又はエチルアルコールによる脱渋のしやすさに大きな差異があり、一般に炭酸ガスによる方が脱渋が容易である。「平核無」は両方の方法で脱渋しやすいが、「祇園坊」のように炭酸ガスでは脱渋容易であるが、エチルアルコールでは困難な品種も多い。
キーワード カキ、炭酸ガス、エチルアルコール、脱渋、渋、タンニン
背景・ねらい 世界における渋ガキの遺伝資源は多く変異も大きいが、わが国で経済品種として利用されているのは極少数の品種である。これには、渋ガキ品種が炭酸ガスやエタノールによって必ずしも容易に脱渋しないことや、脱渋処理に伴って軟化や障害を発生する問題が関与していると考えられる。そこで、現在、主要品種である「平核無」に対して用いられているCTSD炭酸ガス脱渋(100%炭酸ガス、28℃で24時間処理した後、23℃で空気中に放置)と、エチルアルコール脱渋(35%エチルアルコールを7.5ml/果実kgの割合で加え、0.03mmのポリエチレン袋で果実を密封し、20℃で7日間置く)を日本と中国の渋ガキ品種に対して行い、脱渋の難易の品種間差異を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 日本および中国の渋ガキ品種の間には、CTSD炭酸ガス法およびエチルアルコール処理による脱渋の難易に大きな品種間差異があり、脱渋の困難な品種が多い(図1)。
  2. 一般に、CTSD炭酸ガス法の方がエチルアルコール法よりも脱渋容易である。
  3. 「平核無」のように両方の脱渋法で容易に脱渋する品種もあるが、「祇園坊」のようにCTSD炭酸ガス法では脱渋容易でもエチルアルコール法では脱渋が困難な品種がかなりある。
  4. 日本の品種群と中国の品種群の間には2つの脱渋法による渋の抜けやすさに差異がある傾向は認められない。これは、両国における品種が主に干柿か熟柿として利用されてきたため、歴史の過程で現代的な脱渋法に向く品種が特に選ばれて在来品種となったのではないことが関係していると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 数多くある渋ガキの在来品種の利用を見直し、炭酸ガスまたはエチルアルコールによる脱渋を行って利用する場合に活用できる。
  2. 渋ガキの育種をする上で活用できる。現代的な脱渋法で渋の抜けやすい品種は多くなく、育種の上では脱渋しにくい個体が多く生じる可能性がある。
  3. 渋ガキの育種をする場合、脱渋性の検定は、CTSD炭酸ガス脱渋法の方が適している。
  4. 炭酸ガスあるいはエチルアルコール単独では脱渋しにくくても、2つを同時に処理することにより脱渋できる品種があるので、一つの処理で脱渋しにくい品種は併用する脱渋法を検討すると良い。
図表1 213032-1.jpg
カテゴリ 育種 遺伝資源 かき 品種

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