「西村早生」と完全甘ガキとの交雑からは、完全甘ガキの子は生じない

タイトル 「西村早生」と完全甘ガキとの交雑からは、完全甘ガキの子は生じない
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~2001
研究担当者 山田昌彦
佐藤明彦.
発行年度 2001
要約 早生の不完全甘ガキである「西村早生」は、「富有」と「赤柿」の交雑から生じた実生で完全甘ガキの遺伝子を持っていると推定されてきたが、交雑実験の結果、「西村早生」と完全甘ガキの間の交雑からは完全甘ガキの実生は生じない。
キーワード カキ、甘ガキ、遺伝、早生、西村早生
背景・ねらい カキには、甘ガキ品種と渋ガキ品種がある。甘ガキ品種の中には、果実に種子が入った時だけ多量の褐斑が生じて甘ガキとなり、種子数が少ないと渋い果肉の部分がある不完全甘ガキ品種と、種子の有無にかかわらず常に甘ガキとなる完全甘ガキ品種があり、後者のほうが望ましい。
完全甘ガキ品種の数は非常に少なく、早生の優良品種がなかった。そこで、早生品種としては、不完全甘ガキ品種の「西村早生」が広く栽培されてきた。
カキは六倍体で遺伝は複雑である。完全甘ガキの性質は、不完全甘ガキや渋ガキに対して完全劣性で、一般に、完全甘ガキと非完全甘ガキの品種間交雑からは完全甘ガキの子は生じない。
完全甘ガキ品種同士を交雑すると完全甘ガキのみの子が生じるが、早生の完全甘ガキ品種はほとんどないので、早生の育種は難しい。
「西村早生」は、「赤柿」を受粉樹とした「富有」栽培園の生け垣に生じた実生であることから、完全甘ガキの遺伝子を持っており、これに完全甘ガキを交雑すると、完全甘ガキの子が生じるのではないかと推定されてきた。そこで、実際に交雑を行い、「西村早生」の育種上の有用性について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「西村早生」と完全甘ガキとの交雑からは、完全甘ガキの子は生じない。
  2. 「西村早生」と完全甘ガキとの交雑から生まれた子に、完全甘ガキを戻し交雑すると、平均18%の完全甘ガキの子が生じる。その割合は、他の非完全甘ガキ品種と完全甘ガキとの交雑から生まれた子に完全甘ガキを戻し交雑した場合とほとんど同じである。
  3. 交雑試験の結果から、「西村早生」は不完全甘ガキもしくは渋ガキ品種と完全甘ガキ品種との交雑から生まれた子ではないことが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 早生の完全甘ガキ品種の育種に活用できる。
図表1 213033-1.jpg
カテゴリ 育種 かき 受粉 品種

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