完全甘ガキにおけるへたすき果発生程度の品種・系統間差異と年次変動

タイトル 完全甘ガキにおけるへたすき果発生程度の品種・系統間差異と年次変動
担当機関 果樹試験場
研究期間 1982~2001
研究担当者 山田昌彦
佐藤明彦
鵜飼保雄
発行年度 2001
要約 完全甘ガキ品種に特異的に発生する裂果である「へたすき」の発生率は、年次変動が大きく、特に、年次と品種との交互作用による年次変動が大きい。へたすき性は「富有」が小さく、「花御所」が大きい。
キーワード カキ、甘ガキ、へたすき、裂果、遺伝、変異
背景・ねらい カキの果底部に発生する裂果であるへたすきは、完全甘ガキ品種に特異的に多く発生する。完全甘ガキの新品種を育成するためには、完全甘ガキの性質が劣性であるため、完全甘ガキ同士の交雑を行う必要があるが、その交雑から得られる後代個体にもへたすきの発生が多く、品種育成の障害となっている。
また、へたすき果の発生は、環境による変動が大きいことが知られており、品種や系統の遺伝的性質を把握するのに困難がある。特に、年次変動の大きさを解明するには、長期間のへたすき性の調査が必要である。
そこで、10年間にわたり、へたすき性を持つ品種・系統を調査し、年次変動を含む環境変動の大きさと特徴を解明するとともに、品種・系統間のへたすき性の遺伝的差異を解明する。
成果の内容・特徴
  1. ある品種を一つの圃場に植えて、へたすき果の発生割合によってへたすき性を評価する場合、へたすき性の環境による変動要因は、1)同一品種内の樹による変異、2)いずれの品種・樹においてもある年は発生が多く、他の年には発生が少ないという平行移動的な年次変異、3)ある年においてへたすき発生の大きい品種がある一方、他の品種はへたすき発生が少ない、というような品種と年との交互作用と呼ばれる年次変動、4)それ以外の変動、の4つの要因が考えられる。
    この中で、最も大きな要因は、3)の品種と年の交互作用による年次変動であり、2)の要因による年次変動もかなり大きい(図1)。しかし、1)の樹間の変動による変動は小さい。したがって、へたすき性の評価には、年次反復をする必要性が高い。
  2. 10年間の平均へたすき果率は、「富有」は3%、「松本早生富有」は11%、「伊豆」は12%、「花御所」は17%であり(表1)、「富有」は小さく、「花御所」は大きい。
成果の活用面・留意点
  1. カキ品種のへたすき性の評価に活用できる。
  2. カキ育種における交雑実生に対するへたすき性の選抜、系統適応性検定試験におけるへたすき性の評価に活用できる。
  3. へたすき性の「品種と年次の交互作用」を生じさせる要因については不明である。
  4. この評価は、農研機構果樹研ブドウ・カキ研究部(広島県安芸津町)での試験結果によるものであるが、栽培される地域の気候や果実重などの変異により、へたすき性の大きさは変動する可能性がある。
図表1 213034-1.jpg
図表2 213034-2.jpg
カテゴリ 育種 かき 新品種 品種 ぶどう

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