モモの連鎖地図統合による新しいセンチュウ抵抗性遺伝子等の情報の獲得

タイトル モモの連鎖地図統合による新しいセンチュウ抵抗性遺伝子等の情報の獲得
担当機関 (独)農業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 山口正己
山本俊哉
林建樹
発行年度 2002
要約 開発した SSR 等のマーカーによってモモの連鎖地図を作成し、欧州の標準地図と統合し比較すると、新しい2つのネコブセンチュウ抵抗性遺伝子の存在と染色体の転座の可能性が認められる。
キーワード モモ、SSR、連鎖地図、ネコブセンチュウ、転座
背景・ねらい 本研究は、日本の果樹生産の半ばを占めるバラ科果樹のモデルとしての条件(ゲノムサイズが小さい等)を備えたモモについて高密度連鎖地図を作成し、特定有用形質を早期に選抜するための DNA マーカーの開発を目標としている。この目標を達成するためには、個別の労力では限界があるために、国際的な協力が行われている。信頼性の高い SSR (Simple Sequence Repeat 繰り返し塩基配列)マーカーを相互に交換し、それぞれの地図に乗せることによって地図が統合され、より高密度な地図が得られると共に、遺伝形質等の情報を共有することが可能になる。
成果の内容・特徴 1.
モモのゲノム DNA 由来の SSR マーカー 32 種類と cDNA 由来のもの 12 種類を開発し、これらに欧米で開発されたモモ及びオウトウ由来のものを加えた 138 種類の SSR マーカーから、66 種類がモモ品種「赤芽」と「寿星桃」(地図作成のための交配親)で多型を示している。
2.
この 66 種類の SSR マーカーを、「赤芽」と「寿星桃」の F2 集団(126 個体)の地図に座乗させ、150 マーカーから構成される7連鎖群約 512cM遺伝距離を持つ連鎖地図が得られている(図1)。 地図上のマーカーの内訳は、SSR他に 13 種類の STS、9種類の形態形質、34 種類の AFLP、25 種類の RAPD、3種類の ISSR マーカーである。
3.
この地図を欧州 Prunus標準地図(Dr. Arus 私信)と、共通の SSR マーカーをアンカーにして、統合・比較したところ、6つの連鎖群(Group 1、2、3、4、5、7)は、各々対応関係が付き、SSR マーカーの順序と遺伝距離はほぼ保存されているが、欧州の Group 6 と8に相当する連鎖群が、「赤芽」×「寿星桃」の地図では1つになっている。染色体の転座の可能性が考えられる。既に、アーモンドとモモの交雑集団の連鎖地図でも類似の現象が報告されている。
4.
欧米ではモモのセンチュウ抵抗性台木品種として「Nemared」が使われており、この抵抗性と強く連鎖する SSR マーカー(pchgms1)と STS マーカー(STS-Mij)が知られている。これらのマーカーを我々の連鎖地図に座乗させ、「寿星桃」の持つ2種類のネコブセンチュウ抵抗性の位置と比較したところ、何れも同じ連鎖群(Group 2)にはあるが離れた所にあり、「寿星桃」と「Nemared」は異なる抵抗性遺伝子を持っている。
成果の活用面・留意点 1.
今後も多数の DNA マーカー(SSR、STS、SNP 他)を開発し、高信頼度かつ高密度の連鎖地図を作成することにより、早期選抜マーカーの開発が可能になる。
図表1 213073-1.jpg
カテゴリ おうとう 台木 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 ばら 品種 もも

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