タイトル | モモ果実のペクチンに存在する架橋構造 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
村松昇 朝倉利員 田中敬一 立木美保 |
発行年度 | 2002 |
要約 | モモ果実のペクチンは、カルシウムなどのイオン結合による架橋を構成している可能性は少なく、キシラン、アラビナンなどと複合糖鎖を形成することにより、他の多糖と架橋している。 |
キーワード | モモ、細胞壁、ペクチン、架橋構造、キシラン、アラビナン |
背景・ねらい | 細胞壁は糖鎖マトリクス構造を持ち、多様な糖鎖特異的酵素の作用を受けその架橋構造を変えることによって成熟に関与する。モモは成熟期に急激に軟化するため、日持ち性の悪い果実として知られている。しかし、果実の軟化と細胞壁との関係については、軟化する際に大量にペクチンが水溶化することが知られているが、それ以外は知見が少ない。そこで、モモ果実の細胞壁多糖間の架橋構造を明らかにするとともに、果実の軟化機構を解明することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. モモ果実「川中島白桃」のペクチンは成熟期間中を通じてエステル化率が高く、また、イオン結合を分解するキレート剤(CDTA)によって可溶化してくるペクチンの量も少ないことから、カルシウムイオン等を介したイオン結合によるペクチン同士の架橋は少ないと考えられる(図1)。 2. 弱~強アルカリ性水溶液(50mM Na size="-2">2CO size="-2">3、1N KOH、4N KOH)を順に粗細胞壁に処理し、可溶化してきた多糖類(ヘミセルロース)をイオン交換樹脂(DEAE-Sepharose 2.5cm x 30cm)にかけさらに分画を試みた結果、1N KOH可溶性の多糖では、3つの分画に分離することができる(図2)。 3. 得られた多糖のうち、ペクチンを含んでいると考えられる2つの画分(図2-b,c)の多糖をさらに解析した結果、一つ(図2-b画分)はラムノガラクツロナンと(アラビノ)キシランの複合糖鎖で、もう一つ(図2-c画分)はアラビナン-ラムノガラクツロナン-キシログルカンの複合糖鎖であると考えられる(表1、2)。 4. 以上の結果より、ペクチンは細胞壁中で、キシラン、アラビナン、キシログルカンとグルコシド結合により架橋し、ヘミセルロースを形成している。 |
成果の活用面・留意点 | 1. これらモモ果実の細胞壁において架橋を構成していると考えられる多糖と果実の成長老化との関係はさらに検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
図表6 | |
図表7 | |
カテゴリ | もも |