タイトル | 日本産のモモ、アンズ及びウメ黒星病菌はスモモ果実に病斑を形成しない |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 1997~2002 |
研究担当者 |
足立嘉彦 加納健 家城洋之 今田準 土師岳 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 日本産のモモ、アンズ及びウメの黒星病菌は同一種であり、モモ、アンズ及びウメ果実には感染するが、スモモ果実には病斑を形成しない。 |
キーワード | 黒星病、核果類、耐病性 |
背景・ねらい | 核果類の黒星病は、主に果実・枝に発生する重要病害である。本病の病原体である糸状菌 Cladosporium carpophilum は、モモ・スモモ・アンズ・ウメ・オウトウ・アーモンドなど全ての核果類(Prunus属)を侵すとされているが、病徴を現すまでの潜伏期間(約 30 日間)が極めて長く、試験による再現が困難なことから、宿主範囲に関する試験が限られている。特にわが国の重要な核果類であるウメとニホンスモモに関する試験例はない。 そこで、日本の様々な核果類の黒星病について、その病原菌を DNA 解析で同定するとともに、本菌の接種試験法を確立して、宿主範囲を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 日本各地(4県9圃場)から採集した黒星病菌(モモ3菌株、アンズ5菌株、ウメ5菌株)のリボソーム RNA 遺伝子(rDNA)中に存在する非コード領域( Internal transcribed spacer:ITS )の塩基配列はすべて一致しており、日本産のモモ、アンズ及びウメの黒星病菌は同一種である。 2. 各々の黒星病菌の分生胞子をモモ2品種、アンズ2品種、ウメ2品種及び スモモ4品種の幼果期に噴霧接種して果実袋で被覆し、その後、それぞれの収穫期に発病の有無を調査すると、モモ、アンズ及びウメでは黒星病の病徴が再現されるが、スモモ果実には病徴は現れない(表、図)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. スモモが、モモ、アンズ及びウメ黒星病菌に耐病性を有することを示され、耐病性品種の育成を考える際に重要な知見となる。 2. わが国におけるスモモの黒星病の発生実態を調査し、スモモに感染する黒星病菌の有無を明らかにする必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | あんず うめ おうとう 黒星病 すもも 耐病性品種 品種 もも |