花芽形成に関連した遺伝子の組換えによる早期開花性リンゴの作出

タイトル 花芽形成に関連した遺伝子の組換えによる早期開花性リンゴの作出
担当機関 (独)農業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2002~2005
研究担当者 古藤田信博
副島淳一
和田雅人
増田哲男
発行年度 2002
要約 シロイヌナズナの花芽形成抑制遺伝子と相同な遺伝子 MdTFL をリンゴから単離した。MdTFL過剰発現はシロイヌナズナの開花を遅延させる。一方 MdTFLアンチセンス遺伝子を導入した組換えリンゴは最短8カ月で開花し、受粉により正常に結実する。
キーワード リンゴ、花芽形成、幼若性、早期開花、MdTFLTFL1
背景・ねらい 永年性木本植物である果樹には長い幼若期間があり、播種後10年を経過しても開花しない樹種も多い。果樹の育種事業を行う際、この長期の幼若期間中は果実形質調査を行うことはできず、効率的な育種の大きな障害となっている。そのため、花芽形成に関与する遺伝子を利用した幼若期間短縮技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 花芽形成を抑制する機能をもつシロイヌナズナの遺伝子TERMINAL FLOWER1(TFL1)と相同な機能を持つ遺伝子をリンゴから単離し、MdTFL (Malus domestica TFL1) と命名した。図1に MdTFL 遺伝子と既知の TFL1 様遺伝子との系統関係を示す。
  2. リンゴ茎頂部における MdTFL の発現は、花芽分化期直前にピークに達し、その後減少する(データ略)。
  3. MdTFL を組込んだシロイヌナズナは、播種後平均 30 日で開花する対照(野生型)と比較し開花が9~23日遅延し、MdTFL は開花抑制(幼若性維持)機能を有する(図2)。
  4. 形質転換用ベクター(MdTFL アンチセンス遺伝子を組込んだベクター)を構築し、その遺伝子をリンゴ「王林」の葉片に導入して作出した組換え体は、接木後最短8カ月で開花する(図3)。
  5. 早期開花した系統の花器官は形態的に正常であり(図4)、受粉することにより外観的に正常な果実を形成する。
成果の活用面・留意点
  1. リンゴの早期開花・結実による世代促進技術の開発につながる。
  2. 他の果樹作物や木本植物における幼若期間の短縮に応用できる。
  3. 開花・結実の安定性、早期開花性の後代への遺伝及び組換え体の安全性については詳細な解析・評価を行う必要がある。
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カテゴリ 育種 受粉 播種 りんご

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