タイトル | 温暖化はすでにわが国の果樹生産に様々な影響を及ぼしている |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
吉岡博人 高辻豊二 黒田治之 杉浦俊彦 杉浦裕義 朝倉利員 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 果樹生産に及ぼす温暖化の影響は、ほとんどの樹種において全国的に認められる。その影響は、結実や果実品質、樹の生育や樹体への障害、病害虫や雑草の変化など多岐に渡る。 |
キーワード | 果樹、温暖化、生産、栽培、病虫害 |
背景・ねらい | 温暖化等の気象変動は今後、一層、顕著になると予測されている。気象への依存性が高く、かつ改植が容易ではない果樹生産においてはその影響を早期に把握し、長期的に対応を考える必要があるが、温暖化が農産物に与える影響を全国規模で調査した事例はない。そこで温暖化が現時点で果樹生産にどのような影響を及ぼしているかについて、全国規模の調査を実施し、温暖化の影響、内容及び対策を明らかにする。また結果を公表し、問題の存在の周知を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 全都道府県から「影響がみられる」又は「影響らしき現象がみられる」との回答が得られ、すでに温暖化に起因すると推定される現象が、全国で認められる(表1)。また「温暖化の影響とは断定できないが、温暖化の影響らしき現象がみられる」という回答が約8割と最も多く、このことは、何が温暖化の影響であるかについての明確な基準ができていないことを示している。 2. 調査から得られた温暖化の具体的な影響には生産にとってメリット、デメリット両面があるが、このうち、これまでの知見から温暖化の影響である可能性が高いと考えられる現象を表2に示す。着色や貯蔵性など果実に関するもの、凍害や日焼けなど樹体に関するもの、休眠や花芽形成など発育生理に関するもの、病害虫の変化、雑草の増加などが認められ、その影響は果樹生産の根幹に関わるものである(表2)。 3. 発生している影響に対し、何らかの対応が実施、検討されているものについては、当面の対応策として事例を示した(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 各地域における詳細な現象や対策の事例を整理し、果樹研究所のウエブサイトにおいて公表している。 2. 生産現場で起きている現象が温暖化によるものかどうかの判断や、他地域での対策事例の検索など、果樹栽培における温暖化に関する情報として、生産者や行政が活用できる。 3. 上記報告で取り上げているものの一部事例には温暖化の影響であるか否かの判定が難しいものも含まれている。 4. ここで示されている対策は当面の対応策を例示したものであり、樹種別の対策技術の確立や長期的な対策については別途、研究が必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 改植 害虫 雑草 凍害 |