タイトル | ビワにおける二倍体親同士の交雑組合わせからの倍数体の選抜法 |
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担当機関 | 長崎果樹試 |
研究期間 | 1987~2003 |
研究担当者 |
福田伸二 佐藤義彦 稗圃直史 寺井理治 富永由紀子 根角博久 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ビワの二倍体親同士の交雑において、着果障害個体や初着花遅延個体を選抜することで、無核系統や無核育種素材となる倍数体を獲得できる。 |
キーワード | ビワ、二倍体、三倍体、倍数体、無核 |
背景・ねらい | ビワ(2n=34)の種子は、果実重の約2割を占め、生食時の邪魔となるため、無核品種の育成が期待されている。これまでに、ビワには無核の遺伝資源が無く、近年、コルヒチン処理で倍加した四倍体と二倍体個体を交雑して三倍体を作出した事例が報告されている。しかし、優良な四倍体がない場合には、まず四倍体の作出育成から行う必要があるため、三倍体を育成し選抜するには極めて長期間を要することになる。その期間を短縮するため、二倍体同士の組合せで倍数体が出現する可能性あるか、またそれを選抜することができるかについて検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 40交雑組合わせ1,959個体の中から、開花しても結実しない個体(以下、着果障害個体)及び同樹齢の姉妹個体が結果年齢に達しても出蕾しない個体(以下、初着花遅延個体)を染色体異常の可能性がある個体として選抜したところ、着果障害個体又は初着花遅延個体が、6組合わせで出現した。交雑組合わせ内における異常型の出現率は、2.0~3.2%であった(表1)。 2. フローサイトメトリーPA型を用いて倍数性の検定を行ったところ、着果障害個体は全て三倍体であり、初着花遅延個体は四倍体である(表2)。 3. 着果障害個体の三倍体の結実については、八幡ら(1998)の報告に準じ、満開期とその2ヶ月後の2回、植物生長調節剤溶液(ホルクロルフェニュロン20ppm+GA size=-2>3200ppm)の浸漬処理を行って、結実・肥大させると、無核果実が獲得できる(図1、表3)。果実の大きさは34~68g、果肉硬度は118~392g/cm2、糖度は9.0~12.9、酸含量は0.31~0.74g/100mlと個体間差が認められる(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 出現した倍数体は無核系統や無核育種素材として注目される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育種 遺伝資源 びわ 品種 |